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3回目のフジロック。今年は初日と2日目に参加。ここ数カ月蓄積された疲労と鬱憤を抱えたまま、なんとか早朝の新幹線に乗り越後湯沢へ。天気を心配していたのだけど、会場行きのシャトルバスを降りたらもう笑ってしまう程の快晴。会場入りする途中、オアシスTシャツを着た人を沢山見かける。早速グリーンステージの後方に陣取る。今年のスピーカー部分は去年までのグリーンではなく、イエローにフジロックのロゴ。周囲では不評だった。 後ろを見やると、誰かが持ってきたウェールズの国旗がはためいている。そうか、今日はマニックスが出る日なんだ。なんとなくワクワクした。しかし今年は人が多いなあ、というのが感想。それも今日は金曜日ですよ、皆さん仕事とか大丈夫なんでしょうか。 |
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実は、チケットをリストバンドに取り換えてもらって、会場に入った途端、猛烈な腹痛に襲われた。そのままトイレに直行し、その後場所を取った後も一度トイレに行った。山から降りてくる涼しい風にびっくりしたのか、無事到着することが出来て緊張の糸が切れたのか、原因は不明であるが、これがこの日、割と活発に行動しなかった原因になった。だって俺的メインは翌日の土曜日なんだもの。今日無理をする訳にはいかない。遅れてくる友人K君に、「正露丸買ってきてー」とメールする。なんともカッコ悪い始まりだった。当然アルコール系も自粛。 ここでオープニングのセレモニーがあると言う。何をやるのかと思ったらなんとジョーイ・ラモーンの追悼。スマッシュの日高さんとかが出てきてラモーンズのメンバーからのメッセージなどが読み上げられる。いきなり感傷的な気分に浸らせてどうしてくれるんだこの野郎!と思っていたら「黙とうとかすんのはフジロックらしくないので曲をかけます」というアナウンスがあって電撃バップが大音量で流れた。HI! HO! LET'S GO!、なんか泣けるほどバカバカしくて素敵なオープニングじゃないか。 グリーンステージではKEMURIのステージが始まった。すげえ元気な人達、前の方は早くも沸騰してやがる。中央の写真は(ちょっと見にくいけど)交尾しながら飛んでいた蜂。右はそれを狙う熊。さすが大自然の中のフェスティバルである。 |
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とりあえずお腹がヤバイので、寝っ転がって過ごした。空はとても高い。 その後、だんだん回復してきたので、レッドマーキーへ。去年はテントだった会場が、今年はちゃんした建物になってた。おそらく去年異様な熱につつまれた反省からだろう。中ではGerlingが演奏していた。元気のいい3人組。客らしきシロートさんをステージにあげて踊らせたり歌わせたりで大いに盛り上がっている。打ち込みも楽器も両方やるみたいで、しかも衣装はおそろいの作業着系とくれば、どうしてもビースティボーイズを想像してしまう。 |
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ここで最初の食事。ちょうど12時頃だったので、ものすごく混んでいる。人気は和牛串焼きとタイラーメン。とりあえず並ぶのが嫌だったので、手羽先の串焼きを食った。まあなんでもいいや。しかし初日だと言うのにこの混み具合には驚いた。やっぱオアシスの効果だろう。すげえな全く。 SHERBETSを眺めながら、ホワイトステージに移動してEGO-WRAPPIN'。今更誰もそんなこと思ってないと思うけど、ラップの人たちではないです。俺は最初誤解してました。 グリーンステージに戻ってAsian Dub Foundation。初めて前方に行く。ボーカルの男の子がメンバー交替していて、新しいボーカルは2人。一人はメガネ。一人はこれ言って特徴無し。二人とも全然キャラが立ってない。でも音の方はやっぱりすごく気持ち良くて、踊り狂う人多数。近くで誰かがお香を焚いていて、いい感じだった。 |
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ちょうどADFが終わったあたりで、にわかに曇ってきて、すぐに雨が降りだした。K君が会場に着いたのだけど、当日券を買うのに1000円足りないという電話が。雨の中金貸しに行く。ここではカードは使えません。<こぐま豆知識> ここからグリーンステージはUK3連発。まずはTravis。雨上がりの夕空に誠実な感じの演奏が響く。 続いてManic Street Preachers。前の方へ行く。とりあえずこれは見ておきたかった。ジェームスはでっぷりと太って、おでこもヤバめになってきていたけど、もの凄く唄もギターも頑張っていて、本当にずっと全力である。それなのにその隣では大してコーラスもしないくせにマイクスタンドに花を飾って、かわいいワンピースで踊りまくる(当然パンチラあり)ベーシストの姿があった。ヤツのベースはやっぱり信じられないくらい下手くそで、そのくせちゃんと弾くことより、カッコイイ姿で弾くことに主眼を置いているから、全く安定しない。しかも途中の休憩タイムではジェームス一人にアコギで「雨に唄えば」とかやらせておいて自分は衣装替え。休むべき人が違うやろ。けなしているのではない。そんな在り方こそがマニックスなのだ。不格好な格好つけ。モーターサイクル・エンプティネス、モータウン・ジャンク、そしてユー・ラヴ・アス、と結局ファーストアルバムの曲で盛り上がる。 初日最後はオアシス。本当に凄い人、人、人。この先フジロックがどんなバンドを呼んできても、これほどの人が集まり、歌う様は見られないのではないだろうか?Don't Look Back In AngerとかLive Foreverとか、全然このバンドに興味無い俺でも知ってるもんなあ。オアシスの演奏を初めて生で聴いて思ったのは、ギターについて。ノイズギターというのがここ10年のUS,UKのロックのキーワードの一つだけど、オアシスのギターサウンドは適度にノイジーで、程よく洗練されていて、ちょうどいい感じなのだ。凡庸と言えば凡庸なんだけど、ロックっぽいと言えばロックっぽい。とりあえずフジロックで「これぞ大規模野外ライブのトリだ!」というのを初めて実現したのがこのオアシスのライブなんじゃないだろうか。皮肉でもなんでもなくて、オアシスにあれだけ多くの人が熱狂している様は感動的でもあった。 オマケ:泊まった宿は越後湯沢駅すぐの「イナモト旅館」。心配しなくてもヴェンゲルはいないので、帰り着いたのが夜中の2時でも何も言われなかった。しかしもの凄く自己主張の強い浴衣だったなあ(右上写真)。 |
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でもって二日目である。今日から参加する友人に電話して、場所とりをしといて貰ったら、昨日よりも随分前の方で、すごく見やすい場所だった。着いたら既にNumber Girlの演奏が始まっていた。ソニックユースよりも演奏が巧くて、ピクシーズよりルックスが良いのに、そのバンドを聴いてきた耳にはなぜだか刺激にならない。でもギターのコは言うまでもないけど好みです。 今日は体調も悪くない。早速ホワイトステージに移動してeastern youth。全6曲。手抜きナシ。添加物なし。モッシュ続出。純度の高い激情と、胸のすくような曲間の名言集。「今日は客100人くらいかと思ってすげえ燃えてたんだけど、結構いるなあ」「俺たちの曲は一体何人くらいに愛されればいいんだよ?あー?10万人くらいか?多い?100人とどこが違うんだよー?」「砂埃がすごいので、普段オフィスワークしてる人なんかは鼻毛が伸びて大変だと思います。でもなあ、切っちゃダメだぞ。鼻毛をどれだけ切らずにいられるかが男の勝負なんだ」(以上曖昧な記憶より)最高。 グリーンに戻るとJuno Reactor。なんだかもの凄い盛り上がり。アフロ・トランス?違う?そんなジャンル無い?とにかく全然こいつらのこと知らないヤツらがどんどん前に行って踊り始めるもんだから凄いことになってた。こういうのがフジロックの楽しさ。 やっとここで今日参加の更新係と合う。その他にも知りあいが今回は本当に多くて、なんだか変な感じだった。ニールヤングが来る、というだけで即決した人間を何人も知っている。偶然出会った大学時代の先輩もいた。↓これは友人のニールヤング馬鹿一代が作った特製プレゼント用Tシャツ。ちゃんと苗場プリンスのスタッフに言って、ニールヤング御大とクレージーホースのメンバーに渡してもらったらしい。そのクオリティの高さに感嘆の声があがる。 このときステージではHothouse Flowersが演奏中だった。ちょっと可哀想なくらい盛り上がってなかったんだけど、徐々にその地力を発揮して会場の拍手も増えていった。いい感じ。 |
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サイズは当然LLである。 |
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そしてパティ・スミス!当然前に行く。いきなり最初は「Gloria」である。ぐあー、いきなりかよ。とにかく声の力が凄い。まる巫女のように、彼女が声を張り上げ、拳を突き上げると、僕らもその魔法にかかったようにうぉーと声を出している。そしてとにかくかわいい。なんで50過ぎのオバチャンがこんなにかわいいのだ?腕には青いリストバンドと赤の布が巻き付けてあった。恐る恐る客席に降り、みんなに笑顔でタッチして行く。靴を脱ぎ捨て、また叫ぶ。神だ!と思った(すんません大げさで)。そして少し静かになったところで演奏されたのはNirvanaの"Heart Shaped Box"。泣きました、やっぱり。なんだかカート・コバーンが一緒にステージで歌ってるような気がして、パティ・スミスが一体どんな意図でこの曲をカバーしたのか分からないけど、とりあえずまだ明るかったのでおおっぴらに泣く訳にはいかなかったけど、すごくいい曲だなあと思った。最後にはRock'n Roll Nigger。!!。ジャンプしすぎて足が攣りそうになった。彼女はギターを掻きむしり、弦を全て毟り取り、吠え、沢山の言葉を吐き、また可愛く手を振って帰っていった。 終わってからフィールドオブヘブンに移動してROVO。ちょっと退屈。ソウルフラワーを見た連れから、「良かったよー」と自慢される。素直に悔しい。どうしてここをダブらせるんだよ。ニューオーダーとニールヤングもそうだけど、今年はこのスケジュールに泣かされた。 |
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その後はホワイトステージに移動してモグワイ。圧倒的なノイズが体の隅々に染みてくる。去年と同じく気持ち良くて、立ちながら寝たくなる。でもバンドとしてなんか行き詰まってるように感じるのは気のせいか? その後グリーンステージに戻り、おっ、アラニス(これもすごい盛り上がりだった。)やってるな、と思いつつ用意を整えて再びホワイトステージ方向へ。ニール・ヤングを一瞬見てから移動しようかと思っていたのだけど、ホワイトステージのキャパなら入場制限も有りうるな、と思い早めに移動することに。食事とトイレを済ませる。凶暴なAlec Empireのステージを脇で眺めつつ、終わると同時に前の方に陣取った。 50分耐えた後に、ニューオーダー登場。ビリー・コーガンもギターで参加。ジリアンは不参加で、氏名不詳のキーボード&ギタリストが代役らしい。うおーっともきゃーっともつかないなんとも言えない歓声が響き渡り、一曲目が始まった。Joy Divisionの曲、"Atmosphere"だ。ああ、生のニューオーダーを俺は見ているのだ。凄い。 2曲目はニューシングルの"Crystal"、3曲目で"Regret"、4曲目は"Love vigilantes"だっけ?後はよく覚えていない。ニューアルバムからの曲を沢山やったのがなんとも頼もしかった。俺達はナツメロやりにきた訳じゃないぜ、ということか。そしてJoy Divisionの曲も。Ceremonyはやらなかった。ピコピコ電子音の曲は少なく、生バンドっぽい曲主体。で演奏が思っていたほど下手じゃなかったのだ。ビリー・コーガンのおかげなのか、はたまたこの歳で上達したのか不明だが。 |
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でもみんなが期待している曲もきちんとやりやがった。つまりそれはBizarre Love Triangleであり、True Faithであり、Temptationだった。このあたりは至福の時間。ぶよぶよのバーニーが限りなくダサイ感じで踊り、ギターを自信無さそうに弾き、ピーター・フックはとてつもなく傲慢な感じでブンブンとベースを振り回してる。スティーブンのドラムは本当に真面目で涙が出てくる。よくこんなタチの悪い奴等とずっとバンドやって来れたねえ、と同情する。ビリー・コーガンは保護者のようにこんな連中を見つめつつ淡々と演奏。周囲では20代後半から30代後半までのオッサンたちが一緒になって歌う歌う、「こんな日がやってくるとは思わなかった(I used to think that the day would never come)」ってのはTrue Faithのコーラス部分。まさにそんな感じだ。本当に歳をとったなあ、僕たちも、そして君たちも。 最後にはLove Will Tear Us Apartで一旦シメ。アンコールラストにはこれしかないだろう、"Blue Monday"。分かっちゃいるけどじーんとして、なんだか切なくなって、ライブの終わりがやってきた。ステージの上で、フッキーがビリー・コーガンに抱きついた。 その後はグリーンに戻り、ニール・ヤングが2時間半やったと聞いて苦笑し、かつ羨ましくなり、荷物を片付けて、バスに並んで越後湯沢に帰り、温泉に入って寝た。僕はいつものことだけどすごく寝入りが良かったらしい。 |
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日曜日。10過ぎに宿を出て、3日目も果敢にトライするK君を送りだして、駅前でご飯を食べて、新幹線に乗って東京に帰ってきた。濡れて草がいっぱい付いているレジャーシートを干して、近所の小学校まで選挙に行って、昼寝をした。Nirvanaを聴きながら。 どうやら今回のフジロックは本当に「生き残ったものたちの宴」だったようだ。出発前にソウルフラワーユニオンの「サヴァイヴァーズ・バンケット」(去年のフジロックでどんとの為に歌われた曲だ)を聴いていたからという訳じゃないけど、そんな気がした。マニックストリートプリーチャーズはギタリストのリッチーが失踪してから超人気バンドになった。ニューオーダーはその前身のJoy Divisionのボーカル、イアン・カーティスが自殺した後に始まったバンドだ。そしてパティ・スミスはニルヴァーナをカバーした。ニール・ヤングはきっと殺しても死なない。ヘイヘイ、マイマイ。 そんな風に生き残ってきた人達と、別にドラマチックな何もないまま生き残ってきた人達と、そしてそんなロックを聴いて生きてきた僕たちが、くそ暑い夏にまた再会しただけのことだ。もう苗場は珍しい大自然ではなく、年に一度のお約束の場所になってしまったかもしれない。でも毎回マジックがあるとすれば、それはもう場所じゃなくてそこで大音量で鳴らされる音や集まってくる人自体に宿るもんなんだと思う。 別に「生き残った」なんて大げさに言うようなもんじゃない。たまたま事故や病気になって死ななかっただけだし、自殺するほど悩まなかったというだけのことだ。大層な理由がある訳じゃない。そんな適当な感じで、僕もそろそろ20代最後から2番目の夏を迎えている。ロックは思春期の悶々の為にある。その悶々をなんとか乗り越えた僕らは、徐々に醜くなっていく。多少の汚いことは許せるようになるし、その現実への処方せんを上手くでっちあげるスキルの習得に夢中になったりする。当然太るし、毛髪が気になる人もいる。なんか「そこそこ」の幸せで大満足出来るようになる。現状肯定なんて屁でもない。 だから「生き残ったものたちの宴」は全然カッコイイもんじゃない。むしろ凄くカッコ悪い祭りなんだ。そこには純粋さや潔癖さはなく、猥雑で、薄汚れた通りの中で催される。そこはきっと埃が舞っていて、大変なんだ。鼻毛もガンガン伸びる(僕は鼻が悪くてあんまし鼻呼吸しないので、生まれてこの方鼻毛を切ったことがないけど)。でもきっと誰かが言ったように、切ろうなんて考えちゃいけないのかもしれない。鼻毛は無様なマニックスの姿であり、足腰の衰えたパティ・スミスの姿であり、ぶよぶよでダサく踊るバーナード・サムナーの姿かもしれない。 でもね、鼻毛もなくなったら終わりだと思うのだ。埃が体内に入らないように遮断しようとするのが鼻毛の役割だとすれば、それは多少不格好でもすごく僕らにとって役に立つ不格好さなんだ。別にそんなものなくても生きていけるようになったら、それこそ完全な適応である。おめでとう。でも僕はやっぱりどこか、今いる世界に対して居心地の悪さを表明したいんだろう。だからロックも聴くし、不格好でも踊り続ける。別にそれが正しいからとかじゃない、そんな風にしか出来ないからだ。 2001.07.31 |