豊田道倫/しあわせのイメージ
僕がこの人の音楽について書く時というのは、余りにも他のバンドやアーティストのことを書く時と心構えが違うので、困ったことだがこうやって新しいアルバムが発売されたのに、思い入れが強過ぎてうまく言葉が出て来なかったりする。今回もやっぱりなんだかうまく書けそうもない。
ぱっとレコード屋で出会ってぱっと買ったCDではなく、僕が行ったライブやら、手作りのCD-R販売やらで、ひっそりと生まれて、大事に歌われて、大事に聴かれて、流通していた「うた」たちがついに一つのアルバムになったという感じ。前作「東京の恋人」の時も最高傑作だと思ったけど、今回もこれが最高傑作だと思う。常に今が最高なのだ。ファンとしては嬉しい限り。
久下恵夫、上田ケンジ、Dr.kyOnの基本に加えて、ソウルフラワーの奥野真哉まで参加したバンドの演奏は、ドラムが特にものすごくて、全体としては異様なまでにポップだったりして、3曲目の「LIFE」なんて誰のアルバムだったのか一瞬忘れそうになる。あと、いわゆる「必殺の1行」のような切れ味の歌詞が色んな歌に潜んでいて、思わず写経のように書き取りしてしまった。
全部の嘘がばれた時 全部のひとにばれた時
おれはどうしよう 消えればいいか
"夢のはなし"
もう会えないと わかったよ
"LIFE"
2時間だけうつになれば 大丈夫
"軽症"
持てあましてるいのち
"8.11昼"
ふっとした時に僕は死にたくなってしまうのは
悲しみ苦しみではなくて しあわせだから
"雨がやんだ"
大人の世界は吐き気がするほど退屈やんか
"このみ先生"
とくに「このみ先生」は素晴らしい。「自己紹介の時の言葉/わたしは大学時代に文学に没頭して/絶望してあきらめて教師になりました/今思えばイタい女かも」というところが好きだ。
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