接吻
ユーロスペースで接吻。
各所で話題となっているので見に行ったのだが、確かに凄かった。みなさん見てください。小池栄子というだけで見る気がしなかったのが大間違いでした。
犯罪者と、それに自分を重ねる主人公という構図には「カポーティ」に近いものを感じるのだけど、カポーティはあくまで「彼」を3人称として記述することに徹しようとするのに対して、この映画での京子は「わたしは」「あなたは」・・・という強烈な1人称/2人称でもって、強引に「わたし」と「あなた」の世界を構築しようとする。
これは殺人者(豊川悦司)が担う役割をロックスターとか映画俳優とかアイドル、サッカーチームなどに変えてみてもいいし、その場合の小池栄子はこの世に存在する多くの(もちろん私やあなたを含む)誰か(何か)に共感/感情移入することで孤独を癒そうとする人々をカリカチュアライズした姿である。「あなた」に出会うことで「わたし」に意味が生まれたというのは、都合のよい人生の誤読以外の何ものでもないが、そうすることでしか埋まらないものが確かにある。(おそらく古くは宗教がそういった役割を担っていたのかもしれないが)
新聞の切り抜きをノートに貼るシーンがすごくいい。ノートに書き込まれた文字の丁寧さが素晴らしい。彼女にとって、あのノートはおそらく夢を繋ぎ止める何かの代替物である。それがいつか実在のものになるなんて、それだけでものすごいファンタジーだと思う。
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