ジョン・アーヴィング/また会う日まで
いつものごとく長い。自伝的な小説だが、ジャックは作家ではなく映画俳優になる。レスリングをやるのはアーヴィングと同じだが、ジャックは絶世の美少年で、最初で最後の恋をあっという間に終わらせてしまう。このあたりも自伝なのだろうか?下ネタの横溢もアーヴィング史上最高の出現率ではないかと思うが、やっぱり色っぽいというよりも痛くて、切ないセックスばかりが描かれる。
どうでもいいようなことばかりが書かれているようでいて、全てが書かれなければいけなかったことのように思えてくる。不思議な小説だが、思えばジョン・アーヴィンの小説は全部そうではなかったか。
次々と実名で繰り出される映画ネタのあたりはくだらないと思いつつも笑ってしまったが、1999年のアカデミー賞の脚色賞が「サイダーハウス・ルール」でアーヴィングが受賞したことを解説を読むまで忘れていた。
ジャックの口癖の「おー」は、とてもかわいいのだが、オッサンになってからのジャックが言うととても切なくなる。いつまで彼は「おー」と世の中に対して驚き続けるのか。とっくに世の中に期待することをやめてしまっていても、この言葉は発せられ続ける。「やめなさい」と誰かが叱ってくれればいいのだが。
小説は、無駄に長い方がいいのだ。少なくともこの小説を読んでからしばらくの間はそう確信出来る。
そこに書かれていることを評価したり、解釈することよりも、「おー」と言いながらページをめくること。この2週間ほどの間、それが出来て嬉しかった。そしてこの長い物語を読み終えたあとに、改めて"UNTIL I FIND YOU"というタイトルを眺めると、不思議なことに目から水のようなものが溢れていることに気付くのだ。なんという魔法だろう。
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