cinema: 2008年2月アーカイブ
確かにカルト。かっこいい。登場人物だけ並べると、コワルスキー、スーパー・ソウル、砂漠の老人、ベラ、若い警官、年とった警官、エンジェル、ヌードのバイク娘、歌手たち・・・・ということでまったくわけがわからない感じになる。
何をもってして映画を傑作と呼んでいいのか未だにわからないが、こういう映画を見ると後世になにが残るかなんて、まったく誰にも予想出来ないことがよくわかる。B級テイストは見る側の想像力で増幅され、強烈な寓意と印象をもたらす。コワルスキーの車はロックで、DJはそのロックをガンガンにかけるし、コマーシャルも流す。人々はロックスターを崇拝し、そして最後には彼を生け贄として差し出して、また毎日の生活に戻るのだ。だから映画の最初と最後が「消失点」としてループしているのは、非常に納得のいく構成で、この映画が多くのドロップアウトを目論む人々を魅了し続けている理由がよくわかる。人生はからっぽで、その中には暴走する車とヌードの女の子ぐらいしか見るべきものがないことを教えてくれる映画である。
というわけで今日のyoutube。primal screamのアルバム"Vanishing Point"から"kowalsky"。
家にある未見のDVDを見ていこうシリーズ。ソフィア・コッポラの「マリー・アントワネット」。
どのくらい意識してなのかわからないけど、これは確実にあまったれのための、甘えん坊による、お嬢ちゃんお坊ちゃん映画である。ぬるいけど、歴史上の人物をぬるく描いた映画だからダメだとは言えないだろう。「グラディエイター」とか「アマデウス」だって、昔の人を現代的に解釈して描くという意味では本質的にはこの映画と同じようなものだ。
解釈の中心にあるのは「決められた役割を演じることのしんどさ」と「退屈」。おお、ちょー現代的だ。
食うに困らなくて(フランスの民衆は困窮していても)、贅沢と内省(してない?)と色恋と自己実現に励むマリー・アントワネットは、現代の富裕国の「死ぬ危険があるほど困っていないけど、やっぱ生きるのはしんどいよな・・」という自覚なきリッチ(あくまで貧困国の下層と比べて)な層と、確実に地続きの場所にいる。だからこそ、音楽はニュー・オーダーでありキュアーであるのだ。
この不幸は、本当に生き延びることが切実な問題である人たちから見れば、アホらしいだけであり、完全に理解の外にある。だけどその不幸を生きる人たちは昔からいたのであり、現代はその数が信じられないくらい多くなっているというだけなのだ。
この映画ではほとんど全くと言っていいほど、貧困にあえぐフランス国民の姿は画面に登場しない。それは非常に正しい演出に思える。描かないことで、かえってその影は強く印象づけられ、全ての退屈を生きるマリー・アントワネットたちを照らしている。
先週BS2で放送してたキン・フーの「大酔侠」。冒頭、食堂のシーンがまず素晴らしい。謎の美女。彼女にからむならず者たち。空を飛ぶ瓶。柱に突き刺さる銅銭。そして謎の酔っ払いの侵入・・・見事な緊張感とクールな殺陣。ツンデレ系美女剣士と、ダメっぽい酔っ払い風なのに実はカンフーの達人という極上の組み合わせで映画にぐいぐい引き込まれる。後半は酔侠の兄弟子まで登場し、徐々にヘンな感じの展開になっていくが、とりあえず力技で持っていかれる。
とりあえず、金のツバメのかわいさは驚異。12歳のジャッキー・チェンが出演してるらしいけど、確認出来ず。
英語のタイトルは"Come drink with me"。あんまり内容と関係ないけど、ええタイトルや。


