FOOTBALL OR DIE
No.41
 We are・・・
文/ビワコビッチ(1999.11.30)

 書いておきたいことが沢山ある。それを全て網羅するには時間が足りないし、その時間が出来るまで待つとすれば、今僕が「書きたい」と思っている熱を逃がしてしまうことになりそうだ。だから今回は(いつもそうかもしれないけど)ある程度分裂気味な文章になることをお断りしておきたい。そもそも厳密な整合性を求める人間などサッカーには向かない。

 浦和レッズがJ2に降格することが決定した。この件に関して僕がとる態度は徹頭徹尾「他人事」である。それが他のチームを応援するものとしてとる最低限の礼儀だろうと思う。他のチームのサポーターや、日本代表にしか興味のない人や、そもそもそんなにサッカーが好きじゃない人が浦和の降格に対して知ったようなことを語るのを聞くと虫ずが走る。別のチームが落ちる「べき」だったなんて意見は論外だし、小野は今すぐ海外へ行く「べき」だ、なんて言葉には何様かと思ってしまう。誰よりも小野のことを考えているのは彼自身なのに。僕は勿論嘲笑もしなければ、同情もしない。僕は自分が特別礼儀正しい人間だとは思わないが、ずっとサッカーを見てきて、それが僕の選ぶスタイルだと思う。レッズの降格に大騒ぎする「他人」の姿はカッコいいもんじゃない。

 泣き崩れるレッズの選手たちの映像をニュースでみて、そして降格があたかも起こりうる限り最悪の事態であるかのように報道するメディアの振る舞いをみて、僕は少し冷めてしまった。むしろそんな風に悲しむことが出来る彼らを羨ましくさえ感じた。僕はこの一年間、J2の試合を沢山見たので、そのリーグが地獄のようなところでないことを知っている。確かに観客は少なく、日程は過酷で、審判のレベルも低い。試合のレベルも平均すれば確実にJ1よりは落ちる。そりゃ誰だって2部より1部の方がいい。僕もそう思うからFC東京の昇格には素直に喜んだ。

 しかし!しかし彼らには次があるのだ。去年の横浜フリューゲルス。彼らはチームの消滅が決まってから、元旦に天皇杯で優勝するまで勝利し続けた。しかし彼らに「次」はなかったのだ。その事実を大企業にいくらか気兼ねしながら、なんとか「有終の美」などという誤魔化しの言葉でまとめようとしていたマスコミと、今回「2部リーグ落ちイコール地獄行き」という図式を定着させようとしているマスコミの姿は本当に醜い。2部リーグがそんなにひどいところだったらそこで懸命にプレイしている選手は一体なんなのだ?彼らは地獄で無意味な球蹴りをやっている屑のような存在だと思っているのだろうか?鹿島(住友金属)だって磐田(ヤマハ)だって、下部リーグから上がってきたチームなのに。もうそのことを忘れてしまったとでも言うのだろうか?彼ら(浦和と平塚)が泣くのは、決してJ2が地獄だからではないのだ。彼らは「勝負」に負けたから、それが悔しくて仕方がないから泣くのだ。浦和と福岡の勝ち点差はない。わずかに得失点差で1及ばずに浦和は福岡に負けたのだ。11月27日。浦和が引分に終わりそうだという情報を聞いた福岡の監督は、2-0で負けているにも関わらず選手に守りを固めるよう指示したという。それも一つの「勝負」である。もしマリノスが4-0で勝っていたら、福岡が降格していたのだ。それだけの話。そのルールの中で、彼らはそれを承知の上で戦い、負けた。福岡は(おそらく不本意ながら)勝利した。

 僕は先週、横浜FCの2000年度のソシオ会費を支払った。30000円。決してポンと出せる額ではない。だけどこのチームが存続していく為に、何か自分に出来ることで効果的なことはないかと考えて、30000円を払う。天皇杯が楽しみだ。(少なくとも余程のことがない限り、FC東京と横浜FCが対戦する可能性はないし。)消滅から再生しようとしているチームがある。少なくとも彼らより、平塚や浦和はJ1に近い位置にいる。だからどうだという訳ではない。この30000円の方が、トヨタカップを観るためにダフ屋に払う30000円より、遥かに有意義だと僕は思う(異論のあるところだろうが、あんなものを至上のゲームだと思って有難がってる人は可哀想だ)。

 駒場に響く「We are REDS!!」の声に僕は言葉を失った。綺麗事ではないのだ。心優しいレッズサポーターという美談でもない。その地響きのような声には、本当の声しか含まれていないような気がした。今どき「We are・・・」と胸を張って叫べる言葉があるだろうか?多くの人にとって、そのようなモノは存在しえない。しかしそこには在ったのだ。「We are REDS」という言葉が。そのことが僕は嬉しい。なんだか勇気が出てくる。





FOOTBALL OR DIE | バックナンバー一覧へ