FOOTBALL OR DIE
No.61
 Beginning to see the light
文/ビワコビッチ(2001.3.19)

 前回の話のまとめを書いておこう。3月10日に東京スタジアムで行われた開幕戦は、ホームチームであるFC東京がヴェルディをVゴールで下して終わった。終わった瞬間は、嬉しくて飛び上がるというよりはほっとして力が抜けるという感じで、その後青赤の紙の後始末なんかをやりながら何度「いや勝って本当に良かった」と当たり前のセリフを繰り返したかわからない。僕が初めて行った西が丘から2年が過ぎ、僕にとって3度目の開幕戦は、4万人以上の観衆の前で、またも勝利をおさめる結果となった。来年は5-0くらいで勝ってほしいものだ。

 数が多いというのはいいことなのかもしれない。10人になったヴェルディ相手に阿呆馬鹿軍団ならぬ(この言い方もう食傷気味?)青赤軍団は、延長戦を攻め続け、あろうことか4人目の交代を行うという愚挙(ウソ。今年から延長になったら4人目オッケーというルールになったらしい。勿論この国でのみ有効なルール)に出て、ケリーというまだよく分からない新加入選手のアシストから、呂比須が決めた。一人多いだけで、どうしてあんなに勇気がわくのだろう。僕もレッドカードが新吉に出されて、呂比須のPKが決まった瞬間、勝つんだろーなーと信じた。呂比須はPK決めるだろうな、とも信じた。そんなもんだ。ちょっとした差が結果に反映される。スタジアムの中も東京を応援してる人(かなりの温度差はあるけど)の方が、緑色の人より多くて、なんてったってあっちはチアリーダーがゴール裏にいるというかなり前衛的な状態になっていて、お約束と言われようが内容がどうであれ、勝ったんだから良かったのだ。

 興奮しっぱなしの試合では確かになかった。だけど、最後の方にはそれなりの温度があって、それまで震えてた体もあったまった。僕は青と赤の紙のことに随分と巻き込まれ、最後の掃除までやって(生まれて初めて!)スタジアムを後にした。仲間と酒を飲んでからウチに帰った。その日に買った「FC東京の挑戦」を読んで寝た。勝ってよかったなあと思ったし、この試合くらい勝たしてもらっても何も罰はあたるまいと思った。

 試合前にはバックスタンドが青赤になった。それも予想してたよりもずっと奇麗な感じで。多くの人がなんとなく紙を掲げ、遠く離れたメインスタンドからは奇麗な青赤が見えたらしい。僕はその中にいたので、全体は見渡せなかったが、なんとなく割と多くの人が手にしたんだな、ということは分かった。苦情もこなかったし、期待通りに紙飛行機にして飛ばしてるヤツはいたし、大事にクリアファイルにしまってる人もいたし、当然ゴミにもなった。残念だったのはそれが選手入場の少し前で、入場の瞬間じゃなかったことだ。

 なんかこんな企画って、Jリーグとか日本代表っぽいんじゃない?と思う人もいるかもしれない。僕は違うと思ってるけど、そう思う人がいるんなら、そうなのかもしれない。というか東京っぽいとか、ぽくないとか、そういう視点をあまり重要だと思わなくなった。このクラブは「Jリーグ」へのアンチテーゼだと言ったのはだれだったろうか?誰もそんなこと言ってないかも?しかしまあ、どうせこのクラブはJリーグの鬼っ子になるんだろうと思う。それは表面的にどう見えるかという面でよりも、体質として、このフットボールという場所に関る人たちの「関り方」の問題として、この国のリーグを異化する存在になるといいと思っている。それは応援の仕方がどうだとかいうレベルよりもっと深く、この場所に集まってくる人たちの中から染み出してこなくてはいけない。

 それはどういう態度をとるべきか、と個々人が考えることであって、どの分類に属するべきか、というアプローチの仕方では辿り着けない地点なんだと思う。みんながてんでバラバラのことを考え、バラバラの理想を持っているのは当たり前のことなんだ。そのギャップを、いろんなやり方で工夫して、プラスの方向に持っていく行為のことを僕は創造力のようなものだと考えていて、そうではなくてある一つの方向に向かって周りを懐柔したり、一生懸命自分を分類したり、無理やり周りに合わせたり、そんなことで結果的に生まれるハーモニーは美しくもなんともない。互いが主張しながら、なぜか結果的に強烈なパワーが生まれる瞬間というのが、サッカーでもサッカー以外の何であれ、僕が関っていたいものなのだ。

 これから先はどうなるのか分からないけど、いろんな顔をした人が集まり、去っていく東京スタジアムの一日を見て、この場所が僕にとってこれから先のいろいろなことをもたらす場所になるのだろうか、なるといいなと思った。一人で来て、一人で帰っていく人たち。仲間と来て、仲間と帰っていく人たち。一人で来て、仲間と帰っていく人たち。僕が初めて行った西が丘は一人だったけど、今はなんとなく一人じゃない。そんな風にこの新しいスタジアムにもまた、いろんな出来事が通りすぎて行く。もしそうなったら、ちょっといいんじゃないかなと思った。

 あれから一週間が過ぎ、東京は神戸に負けた。僕はtotoを(惜しくも)外した。元気の出ない話ばっかり聞かされるような気がする。腹の立つことも沢山ある。(去年よりも更に「エフシー」って言うな、と思うとは・・あと「F東京」とかね)まあそんなことにクソッタレと思えるだけマシだと思って、思う存分唾を吐きかけようと思う。

 僕は映画「キッズリターン」の最後のシーンがとても好きだ。正確には覚えていないけど校庭を自転車でぐるぐる周りながら「おれたち終わっちゃったんですかね」、という言葉に対して「まだ始まってもいねえよ」って答えるヤツ。新しいスタジアムと、沢山の人の波を見ながら、なんとなくそんなことを考えた。








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