ディアスポラ/グレッグ・イーガン

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ディアスポラ

僕にとっては(そしておそらく多くのSFファンにとっても)、現代最高のSF作家であるイーガンの新作。読了。

この作家は決して同じところに安住しないということがよく分かった。「宇宙消失」「順列都市」「万物理論」と続いた長編も、どんどんと広げる風呂敷は大きくなっていったのだが、この「ディアスポラ」に至っては完全に暴走状態。「いちいち説明しませんよ」「わからんひと放っときますよ」ってな感じ。トランス状態に陥るほど難解な物理学/数学が展開され、宇宙が淡々と記述される。そして静かに生まれる感動。「あらゆる文学形式の中でSFだけが与えうる深い感動。そのもっとも純粋なかたちがここにある。」という帯は伊達じゃない。

そういえば素晴らしいタイミングでこのニュース。[謎の大爆発の瞬間とらえた ガンマ線バーストを観測]

2回目を読むなら参考にしてみよう。[ディアスポラ数理研]

このあとはネタばれアリ。

ときどき、文系とか理系とかいう区分けが本当にバカらしくなる。勿論どのような種類の「思考の訓練」を積んできたか?という点において、それは重要な差異ではあるんだけど、より大きな差異は「考えること」と「そもそも考えることをしない」という2者の断絶にあったりする。

解説でも触れられている通り、繰り返されるのは「理解できないことなどない」という真理探究とか相互理解への揺るぎない信念だろう。それは宗教でもロマンチシズムでもなく、数学的な過程と帰結の問題にすぎない。SFはこの世界から、この現実から、逃避する為のものかもしれない。そして同時に、この世界を記述するものであるのかもしれない。それは諦めでもなく、傲慢でもなく、どうしようもなく人間が繰り返していることだ。

そう、この旅は続く。

パオロは「わかりました」とうなずいてから、間を置いて言葉を継いだ。「ただ、お父さんはひとつまちがっています」
「なにがだ?」
「理解のおよばぬ世界ですって?」パオロはにやりとした。「どこでそんなたわごとを仕入れたんですか?理解のおよばないものなんてありません。展示物をもうあと百個見たら、まちがいなく、お父さんも五次元で夢を見るようになりますから」

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このページは、biwacovicが2005年10月 8日 22:11に書いたブログ記事です。

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