2007年3月アーカイブ

ディレクターズカット ワイルドバンチ スペシャル・エディション未見の傑作というのはいつになっても尽きないもので、今更ながらではあるがサム・ペキンパーのワイルド・バンチをDVDで見た。うむ、すごい、かっこいい・・・余りに普通のことしか書けない。

子供の頃に思った「映画」というのはこういう世界だった気がする。色々なことが映画や人生では起こるが、僕らはそれらすべてを「体験」することが出来る。そういう確信が込められている映画だ。放たれる銃弾も、飛び散る血飛沫も、すべては嘘、作り事だ。だが、その中を生きている人間は大真面目に死んでみせるのである。それが見る人に何かを与える。

最近ちょっと働き過ぎだったので、仕事を適当に切り上げて国立へ。

シリアは結構強いと思っていたのだけど、それほどでもなかった感じで、日本代表は大幅な入れ替えはなく、評判の悪い3トップをやめて普通に2トップにしたような布陣で、誰が何をやるのか随分と分かりやすくなってた。平山は2点決めた。2本ポストにあてた。他にも崩しまくったシーンも多く、香港戦のような感じはなかった。

いやあ若いなあ。カレンと李はホントによく走るなあ。梶山は全然役に立ってないなあと試合中に思ったのだけど、今思うとまあそんなにひどくはなかったかもなあ。とか色々思いながら家に帰り、Xactiでとった動画をiMovieで編集してみた。何をしとるんだ俺は。

デジタルムービーカメラ「Xacti」(シルバー) DMX-CG6(S)

サッカーのストレスからか衝動買い。急にカメラが欲しくなったのだが、普通のデジカメじゃあつまらないし、かといって別に高級なヤツが欲しいわけでもないし・・ということで前からちょっと気になっていたXactiを買ってしまった。最新ではない型で、ヨドバシカメラで35800円(20%ポイント還元)・・・ポイント分でSDカード2GB。過去にソニーの初代サイバーショットやら、カシオの初代エクシリムやらを買った時と比べると、驚く程安い。

とりあえず、まったく無意味にウチで撮ってみた動画。しかも動いてるとこじゃなくて、充電中のルンバ。初めてyoutubeにアップした。

負け慣れてきました。さすがにホーム3連敗だと、しかもあんな内容だと、なんか心がざわざわするような不快感もなく、泰然自若としていられます。いいなあサッカー場って。おいしいお菓子が貰えたりするし、昼間っからビールが飲めるし。試合?まあそれはちょっとね、おいておこうかね・・という感じです。

毎回のように楽しそうに沸き立つアウェイ側を見ていると、なんだかとってもいいチームのような気がしてきますね。このスタジアムにくればハッピーになれるよ!みたいな。

遺す言葉、その他の短篇アイリーン・ガン「遺す言葉、その他の短篇」。帯には「超寡作作家が四半世紀にわたり書きためた珠玉の12編」とあったが、その謳い文句に違わぬ面白さだった。ウィリアム・ギブソン、アーシュラ・K・ル・グィンといった蒼々たるメンツからの賛辞はダテじゃない。しかしまあ1976年から書き始めて、やっと2004年に短編集・・というのはなんとも気の長い話で、そういった創作環境が適している人もいるのだろう。

「中間管理職への出世戦略」・・・カフカの「変身」が、(80年代にマイクロソフト社でバリバリ働いていたという)彼女なりの味付けでリミックスされたような短編。会社組織の抑圧とおかしみに、この作者はただ者ではないと思わされた。

「コンピューター・フレンドリー」。サイバーパンクと残酷な童話のミックス。ここにあるのは人間ならざるものの擬人化ではなくて、人間の非人間化である。しかもこれって風刺というより、現代そのものでは?

「ニルヴァーナ・ハイ」。カート・コバーン高校を舞台にした青春(そうか?)小説。マイクロソフト提供の高校生活、グランジを奏でるブラスバンド、コートニー・ラブのような格好をしたチア・リーダー、校歌は「これを生き延びろ」。。。なんて狂った小説だ。

「アメリカ国民のみなさん」「ソックス物語」「遺す言葉」「ライカンと岩」「コンタクト」「スロポ日和」「イデオロギー的に中立公正なフルーツ・クリスプ」「春の悪夢」・・とタイトルを並べただけでも面白いではないか。そして圧巻は若きアイザック・アシモフとロバート・A・ハインラインが登場する「緑の炎」・・・。奇想というより、丁寧に選びとられた言葉で綴られる物語はどれも美しい。そして、創作の秘訣まで書いてある。なんていい人なんだ。

二週間後、シアトルの自宅で、わたしは電話に出た。ギブスンからだった。「きみに創作の秘訣を言うのを忘れてた」と彼は言った。

「そうね」とわたしは言った。「創作の秘密は何なの?」

強調のための一拍。それから、「自分の作品に対して感じる非常に自然で適切な嫌悪に打ち勝つすべを学ぶことだよ」

それは、これまで人からもらったなかで、もっとも役に立つ創作の秘訣だった。

「創作の秘訣」アイリーン・ガン

テアトル新宿で松ヶ根乱射事件

長々と感想を書き散らすほどもないほど、良かった。いい映画だよ、と力説するのも違うような気がするが、かと言って力説しないわけにもいかない。

以下適当に映画的にタグ付けを行うとすると、

雪、犯罪・・・「ファーゴ」、「シンプル・プラン」
兄弟、田舎、木村祐一・・・「ゆれる」
田舎、一昔前・・・「殺人の追憶」

・・・みたいな感じになる。でも、ここであげた映画とはまったく別の、独特のムードというか停滞感とかエロがあって、こんなモッサリした感じを映画にしてみせるというのは、山下敦弘監督は素晴らしいという他ない。しかも、ただ停滞するわけじゃなく、時折オナラが漏れるように、「出てしまう」感じがたまらない。人生のほとんどの場面では、「出しました!」じゃなくて「出ちゃった」という方が多いのだから。

あと、主人公が車の中で突然吐くのは、「UNDER COVER JAPAN」のカンパニー松尾パートですね。これもまた「吐くぞ」という意志の全くない「吐いちゃった」である。

日曜日。前日は中目黒で飲んでて、家に帰って酔っぱらって床に転がって寝て、起きたらテレビで女子代表とメキシコ代表のプレーオフが始まっていた。しばらく見たが途中で寝てしまい、起きたら残り10分で1-2という状況だった。そのまま終了で安堵。良かった良かった。俺がだらしなく寝ている間、なでしこの皆さんはメキシコの高地で酷暑の中戦っていたことになる。素晴らしい。というかどうにかしろこの体たらく。俺。

16:00キックオフで味スタ。東京と磐田。0-1で負け。相手は前半途中で10人になったが、川口が神懸かりモードに入ってしまったこともありシュートは決まらず、逆に「この時間帯のフリーキックは決まりそうな気がする・・」という嫌な予感通りのフリーキックで1点。そのまま終わり。

その後中野で更新係と中華食ってたら、仕事の電話がなり、結局チャーハンを半分残したまま緊急で仕事へ向かう。やれやれというか、あんなに酒抜けないまま仕事したのは初めてかもしれない。結局ウチには帰れず。

という訳で、サッカーの印象がほとんど残らなかったという意味では、いい一日だったのかもしれない。

ユーロスペースでスーパー・ギドク・マンダラ、「ワイルド・アニマル」。

昔の三池崇史かと思うような、なんとも言えないインチキな感じと、全編に溢れるロマン?のようなもの。なんと言ってもパリの話だもんな。キム・ギドクの脚本に特徴的な物語の暴走・あるいは絵画的構造美はなく、あくまで因果律に忠実な物語が進行する。だけどやっぱり、白塗りやら冷凍の魚やら覗き部屋やらいかがわしいイメージが横溢していて、どうにも目が離せなくなる。あと最もセックスとは遠い映画なのに、もっとも女性の裸が多い映画かもしれない。不思議と愛着のわく映画だった。


ギドク祭りもとりあえずこれで一区切り。未見は「鰐」だけで、これは4/28からユーロスペースで公開。

絶対の愛

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日曜日。ユーロスペースでキム・ギドクの絶対の愛。(この日は、ついにギドク中毒友の会のお二人に劇場で出くわした。まあいつかは会うと思ってたんですけど。)

「整形」がテーマのこの作品。相変わらず奇妙にぶっとんでるとこや、ただただ美しいところもあるんだけど、なんと言ってもセリフが比較的多い(普通の映画に比べて、ではなく他のキム・ギドク映画に比べて)ので、とっつきやすい部分もあるのではないかと思う。(以下は内容に触れていますのでご注意を)

ドリームガールズを見ました。

大ヒットしているのもよく理解出来る、よく出来た映画でした。この映画を見て人生が変わったりする人は相当のおっちょこちょい(別に悪いことではないですが)だと思いますが、実にうまく人間の感情が生まれて育っていく様が描かれているので、うっかりすると単純な感動の物語に見えたりするかもしれません。

「歌」が生まれ、それが「ポップミュージック」とか「商品」になるには、まずは圧倒的に感情に訴えかける何かが必要です。ただし、それを洗練し、血抜きし、大量生産可能なものにするには、別の努力が必要です。この原初の感情とビジネスの共犯関係を、幸福なものとして続けることは相当に難しいことであり、少なくとも巨大な規模でそれを続けられる人は、異様なまでに幸運(もしくは不運)だと言えます。

そして、この映画での成功者/敗残者が徹底的に単純化して描かれているのは正しいことだとも言えます。この映画はポップミュージックの構造そのままに、映画が実世界を剽窃し、それを単純化し、そのことによって多くの人と感情を共有するという構図になっています。薄暗いクラブで歌われたブルースは、間抜けなリズムの道化服を着せられて皆に愛想を振りまくのです。この映画は、そのことについて、いいとも悪いとも言っていません。ただ面白いと思うのか、絶望的に思うのか、どちらか選べと言われたら「面白い」に傾くように成分調整されているので、きっと多くの人に受け入れられると思うのです。

とりあえず僕は「ビヨンセ」という人をこの映画で初めて認識しました。圧倒的に化粧してないのがかわいいと思った。

いい天気の土曜日。国立競技場。日本女子代表の試合は、澤のゴールと宮間のゴールで快勝。決定的なチャンスの数はメキシコの方があったと思うけど幸運もあって決まらず、逆に日本のチャンスは2点とも素晴らしい集中力で決まった感じ。このチームは瞬間的なスピードとかショートパスで勝負するチームなんだろうけど、やはり一番の特徴は浅いラインをキープし続けるための、90分間途切れないプレスで、これはホントすごい。荒川さんすごかったなあ。メキシコは最後の方は疲れてグダグダになっていたので、もう1点がとれれば来週のアウェイはもっと楽になったであろうに。

その後は国立から移動してfootnikで大宮と東京の試合。これも同じく2-0のスコア。今野と福西のゴール。決定的なシーンは土肥がことごとくセーブしたのか相手が当ててくれたのか。それはともかく勝ったというのは良かった。

しかし、同じスコアでありながら、女子代表がチームとしての一体感があって思わず応援してしまうのに比べると、東京はまだ熟成度が全然足りない感じで、オリンピック予選のある今年はずっとこんな感じで行くしかないのかもしれないが、それはまあ今年も大変だなあと言うしかない感じである。合わない合わないとしきりに言われてるワンチョペさんに期待。しかしワンチョペ足長いなあ。

試合は見てないけど、横浜ダービーは、横浜FCが勝ったそうだ。カズ、山口、小村が横浜FCで、大島とか坂田、田中隼磨とかのかつてフリエの方だった選手がマリノスにいて、いったい誰が1998年にこんな面白いメンバーの2007年の横浜ダービーを予想出来ただろう。。。年月というのはただ過ぎるだけでも味わい深くなるものなのだなあと、年寄り臭いことを書いてみる。

39の日

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木曜日。久々にフットサル。もう1歩足が出ればいい、その「もう1歩」が果てしなく遠い。終った後はこれまた久々に中華屋に行って食事。

帰宅途中、駅の近くで、若いお母さんと小学生くらいの娘が歩いていた。母親が突如何かに激怒して、娘をバシバシ殴っていて、娘の方は大声で泣くわけでもなくやられるがままで、ああ止めに入った方がいいのかな・・と思っていたらスタスタと二人とも歩き出した。なんかなんとも言えず暗い気分に。

金曜日。結婚記念日。1年。夜はちょっと豪華に食事。メニューはなくて、すべておまかせなお店で、料理もワインもおいしくて満足。

土曜日。朝から歯医者の定期検診。ちょっと褒められた。その後国立競技場で日本女子代表VSメキシコ女子代表のワールドカップ・プレーオフ第1戦を見る。ビールとホットウィスキーを飲んだ。その後に恵比寿に移動してフットニクで大宮と東京の試合。ギネスとキルケニー1パイントずつ。家に帰ってからは適当にビールとか焼酎とか。アル中か?

で、今は日曜日の朝なんだけど、不思議と頭はしっかりしている。

水曜の夜。ユーロスペースでスーパー・ギドク・マンダラ、「リアル・フィクション」。

同病の方々はやはり熱心で、もっとも知名度のないこの作品もほぼ満員。「魚と寝る女」と「受取人不明」の間に撮影されたこの作品は、な、なんじゃこりゃ・・よくもまあこんな作品を・・というある意味で驚愕の作品(まあ全部そうなんだけど)です。ということで、以下は内容に触れていますので見る予定の方はご注意を。

日曜の朝。ユーロスペースでスーパー・ギドク・マンダラ、「悪い女〜青い門〜」。

邦題は明らかに「悪い男」に便乗してつけちゃったんだね・・という残念なものだけど、映画はやっぱり面白い。前日の深酒で猛烈に眠かったけど、最後まで全然寝なかった。海辺の街の、娼婦のいる民宿を舞台とするギドク的ホームドラマ。まるで舞台のような民宿の中庭、飯食うところ、娘の部屋、息子の部屋、娼婦の部屋、そして客の部屋という配置はそれだけで構成美を感じさせるのだけど、その美しさは容易には現れて来ない。海はひたすらどん詰まりを感じさせるし、登場人物もみんな何かやってくれそうな期待を持てない。だけど、毎日ちゃんと歯を磨いていればなんとかなるんじゃないか・・・という映画。違うような気もするけど。

モーニングショーだったけどほぼ満席だったのも頷ける。ギドク・マンダラに中毒している人は見るしかないのだ。
悪い女

天の声・枯草熱
レム・コレクションで買ったはいいけど、途中まで読んで放置していた。「天の声」でどうにも集中できず、ついつい他の読みやすい本に流れてしまっていたのだ。ただ、今年になって「大失敗」が刊行されたので、これは先に出たレム・コレクションを片付けてから読みたいなあと思って一気に読んだ。

<天の声>
いわゆるファーストコンタクトもので、しかもそれ自体を否定するような構造になっているのがまさにレムの小説のレムたる由縁か。知性によりかかろうとすればするほど、大いなる不可知性に包囲される様子は、スリリングというよりコミカルですらある。

<枯草熱>
小説のタイトルだけは昔から有名だったけど、ながらく入手困難だったこの小説。タイトルはかれくさねつ、ではなくこそうねつと読むのはこれを買うまで恥ずかしながら知らなかった。これは紛うことなき大傑作。ミステリでありつつ、ミステリ自体を語り直すという試みにもゾクゾクするが、その細部で描かれるヨーロッパも実にクールで面白い。「謎」はそもそも「謎」であるのか徹底的に検証される。そして最終的に、我々は鮮やかな騙し絵のように小説というもの自体と向き合う羽目になる。これは実に気持ちのいい瞬間だった。

追記:枯草熱とは、花粉アレルギーの症状のことで、もし今訳すなら「花粉症」になるだろうとのこと。この小説の主人公は花粉症の元宇宙飛行士なのだ。多くの花粉症患者の皆様には、この本を読んでも症状の緩和にはなんの改善も見られないだろうが、なんとなく共感出来ていいかもしれない。レムの文章というのは、真面目くさった顔して実は下らないことを書いていたりするのも魅力なんだけど、その下らなさがまたクルッと回って深い思考へ繋がったりするから面白い。この小説における花粉症はそういった意味で最高のギミックだと思う。

次は「大失敗」。タイトルがいいな。
大失敗

2007年の開幕戦。

なぜか異様に早くスタジアムに着いて、ぼーっと一人でピッチを見たり本を読んだりしていた。スタジアムDJが懐かしいKLFの"Make It Rain"という曲をかけていて、なんか嬉しかった。その後にコステロの"(What's So Funny 'Bout) Peace, Love And Understanding?"も流れて、なんとなく前向きな気分に。しかし岡林信康の開幕ゲストというのは、まあ完全にスベってて可哀想な感じでした。

試合は負け。1999年からこのチームを見始めて、初めて開幕戦に負けるところを見た。ただ、いつかは途切れる記録だし、そんなにショックはない。別に普通に負けただけの試合だったし。ただしあれだけ問題がはっきりしていて、この後修正出来なかったら相当まずいのではないかと思うが。

マッチデープログラムに、「魅せるサッカーで頂点へ!新生・原トーキョーの第一歩」という低劣なコラムが載っていて、これはいかんだろうと思う。ここまで思考停止的な指揮官礼賛のテキストは、かつて掲載されなかったような気がするのだが。

バック上層では、コスタリカの方々がワンチョペコールで盛り上がっておりました。交代の3人を使い切ってしまったことに気付いていたのかいなかったのか、ずっと楽しそうに記念撮影とかしてたけど、またスタジアムに来てくれるだろうか?

最後に。ウォーミングアップの間だけだったけど、ゴール裏に「カズ、上がれなかったオレたちの分も 楽しめ!」というバナーが貼られて、ちょっと泣けた。ユースから昇格し、いきなりの先発で、前半途中で交代という体験をしたセンターバックの吉本。がんばれ、と思う。

試合後は、恵比寿で中華。大量に食って飲んで、8時過ぎにはもう眠くなる体たらく。素直に家に帰るつもりが、帰宅途中にある店に寄ってしまい、更にビールとか。帰宅後はベッドにも辿り着けず床で寝る有様。

というわけで、またサッカーのある週末が始まった。始まってしまった。