絶対の愛
日曜日。ユーロスペースでキム・ギドクの絶対の愛。(この日は、ついにギドク中毒友の会のお二人に劇場で出くわした。まあいつかは会うと思ってたんですけど。)
「整形」がテーマのこの作品。相変わらず奇妙にぶっとんでるとこや、ただただ美しいところもあるんだけど、なんと言ってもセリフが比較的多い(普通の映画に比べて、ではなく他のキム・ギドク映画に比べて)ので、とっつきやすい部分もあるのではないかと思う。(以下は内容に触れていますのでご注意を)
・あの喫茶店は何か喧嘩したくなるオーラが充満しているようでなんだか可哀想。
・整形の医者までもが激情タイプなのは爆笑。
・男は「うつせみ」のデジタル編集?みたいなことを部屋でやってたけど、そんな仕事であんないい部屋住めるのか?
あとセリフが多いのはいいんだけど、激情に流されて言葉が多くなる・・・というパターンばかりで結局のところ一番大切なことは余り言葉にされることはない。
驚愕の「整形返し」の後の後半は、とても美しくて、そして恐ろしい。address unknownで帰ってくる手紙を出し続ける「受取人不明」や、顔に布を巻き付けた母親が登場する「春夏秋冬そして春」、多くの男に身を任せることで、誰にも所有されることのない存在となる(「悪い女」「悪い男」「サマリア」・・)そして、存在そのものを消し行くような「うつせみ」「弓」・・・という映画の中に流れていたのは、匿名性への誘惑(または確固たる意志)である。私は「私」でなくなってしまってもいいのかもしれない。あなたは「あなた」でなくなってしまってもいいのかもしれない。それは甘美な幻想であり、同時に絶望的な孤独でもあるような。だから、血だらけのクローズアップより、茫漠とした彫刻のある浜辺より、寂しくて誰かと身を寄せ合う夜より、街を行く人の顔・顔・顔・・・が恐ろしいのである。
もしあなたが私になったら、死んでしまうかもしれない
だけどあなたは私になれないし、私はあなたになれない
豊田道倫「ドラッグ・ソング」
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お久しぶりです。コメント&TB失礼します。
なるほど匿名性への誘惑。
ギドクの一貫したテーマがうかがえます。
ところで僕も本作を見に行った時、知人にばったり出くわしました。
ちょっと前まで何たる偶然!と思うところでしたが、
ここ数年は割と映画好きの友人と劇場で再会することが少なくなく、
共通の趣味を持っていればすお珍しいことではないと思うようになりました。