鰐
キム・ギドクの処女作。鰐。先週の日曜日にユーロスペースで見た。これで僕はキム・ギドクの全作品を見たことになる。そんな監督は他にいない。えらいこっちゃ。
「衝撃の処女作」という形容が相応しいかはともかく(当時は無視されたらしいから)、今となっては明らかなその「異能」の映画を最初に見た人はいったいどう思ったのだろう?紙の小舟とか、川の底のシーンとかやっぱりびっくりしただろうな。
主人公を演じるチョ・ジェヒョンは後の「ワイルド・アニマル」そして「悪い男」でも主演しているが、まさにこの主人公(毎回名前は変わるが)こそが、キム・ギドク監督の分身なのだろう。(「魚と寝る女」とか「受取人不明」にも出ているけど、あれは監督の投影ではないですね)その痛ましいほどの無能、無策っぷりは、おそらくは当時の自身の状況だったのではないだろうか?そして「愛する女の心はどうやっても手に入れられない」という絶望からの必死の跳躍の瞬間。それを切り取ることだけがこの初期のキム・ギドク映画の鍵なのだ。
そういう観点からみると、「悪い男」というのは実に深いラストだったということに気付くのである。
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