2007年8月アーカイブ
岡田斗司夫著「世界征服」は可能か? (ちくまプリマー新書 61)読了。アマゾンのレビューを見ると、驚くべきことにまったくこの本のことが分かっていない人がいるようで悲しくなってしまった。
最後の方は自由経済と独裁者による奴隷経済の比較なども行っているが、結局論点がずれただけで話も非常に退屈で残念です。(経済の話なら経済書を読みます) 〜アマゾンのレビューより
とか、絶望的すぎる。この本はもうちょっとまともな人に読まれるべきだろう。
アニメとか漫画の荒唐無稽な「世界征服」を論じるところからスタートするわけだが、本書の魅力はその跳躍力にある。単なるオタク的衒学ではなく、真っ正面から世界を論じることに辿り着く最終章こそがこの本を読んだことの満足を深く感じさせてくれる。
「自分だけ豊か」はありえるか/「支配」とはなにか というあたりは実にスリリングで、借り物の言葉ではなく、オタク的アイテムを使いながらも、筆者なりの思考の過程が実に面白い。かっこいいことを書こうとして無理したんじゃなくて、「世界征服」のことばっかり考えていたら、実は今の世の中の仕組みについて考えることになってしまった・・という本なのだろう。
僕はこんなふうに、徹底的に「自分の言葉で」「自分の知っていることで」出来る限り誠実に世界を語ろうとする人のことを尊敬する。
村上春樹によって翻訳された、レイモンド・チャンドラーの「ロング・グッドバイ」。清水俊二訳の「長いお別れ」を読んだのは大学の頃だったろう。さしたる感銘は受けたような記憶はない。なんとなく読んで、それで終わりだった。
土曜日。サッカーは負け。日曜日。映画。夜は都立大学で蟹料理。月曜日。仕事を休み映画×2本。夜はビールの豊富なバー。
日曜日。恵比寿でデイヴィッド・リンチのインランド・エンパイア。
くらやみの中の3時間。
これ以上はないというくらい、リンチのやりたい放題な感じで延々と続く、異様な世界。「ワケが分からない」ことを追い求め、「謎」を解き明かしたいと集まってくるリンチ信者たち。
映画というものが何を表すものなのか、今まで多くの映画を見てきたが結局のところよくわからない。たあ、一つのあり方として「デイヴィッド・リンチの映画」という基準があるような気がする。それはすなわち、映画とは難解さと謎解きのイタチごっこであり、さまざまな仕掛けをちりばめられていて、その隠された意味が見えるような瞬間こそが最も美しいとする立場だ。(おそらくそれは文化的に成熟というか爛熟したような場所で育った人にしか楽しめない映画だろうが)
そしてそのくらやみの3時間が終わったとき、とってもすっきりとこの映画を見終わった僕がいた。なんか異様に「わかった」という気がしたのである。まあ解釈は人それぞれだとは思うけど。
以下は俺の解釈。
出戻ってきた鴨ちゃんとの最後の日々が描かれる「毎日かあさん」
こうやって商品として、漫画として「日常」が描かれる「毎日かあさん」のような作品で、「書かれていること」と同じくらいかそれ以上に大事なことは「書かれていないこと」だ。(素人が書くブログでもそうだと思う。)
鴨ちゃんの死は、そしてその前の半年間は、あまり多くの紙数を割いて書かれていない。だけど、その書かれていない(だけど家族4人で暮らしている)日々のちょっとした描写に、こぼれ落ちそうなコマの片隅に、コマとコマの間に、なんとなく彼の姿を感じてしまう。一緒に取材した旅に、鴨ちゃんのとった写真に、そして何より幸福そうな表紙の4人に、なんだか圧倒的なものを感じてしまって、泣くことすら忘れてしまいそうになる(結局きっちり泣いたけど)。人生はこのようにして祝福され、そして肯定される(こともあるんだね)。
土曜日。負け。あまりにも長く同じような光景を見過ぎたせいか、後半の最後の20分くらいはほとんど感情の起伏なし。まーねー、どうせ何も変わっていないとわかっていて見にきてんだしね。
最も愛される監督・原博実 — ヒロミズムという身を削ったギャグのような本が悲しいです。
とりあえず今の(もう随分前からのような気がするけど)東京の試合は、アイスを食べて当たり棒が出るような期待値で見に行くしかないのである。「当たり」の棒は滅多に出ない。出たときにやった!と思えればそれでよし。問題は
「アイスはたとえ当たりが出なくても、冷たくておいしい。」
ということである。
朝から照りつける太陽にやられまくり。
BSで、夏休みの1週間、NHK BS2の夜が「押井守」一色に染まる!なんてものを放送するもんだから、ついつい見てしまった。暑い真夏の夜に、押井守監督が自作を語る映像はなかなか色んな意味でクールだ。
個人的には「ビューティフル・ドリーマー」と劇場版パトレイバーの1作目が好き。あとNHKなのに「ニルスの不思議な旅」は放送せず、「ゼンダマン」は放送するという荒技に驚く。
まったくもってどうでもいい話だが、只野仁の変身前に似ていると話題の更新係さんは、うる星やつらのメガネにも似ていると思った。
あのとんでもない未完の傑作「デメキング」の完結版が・・?ということで早速買って読んでみた。
これは正確には「完結版」ではなくて、復刊とか再発と呼ばれる類いのもので、しかもタチの悪いことにラストの2ページが削られて新たに3ページが書き下ろされている。つまり正確には復刊とも呼べない。その3ページに一応の「オチ」があるので「完結版」と銘打っているらしいが、これならもとのまま「未完」でいいじゃないかというのが正直な感想である。(もしくは最初にオリジナル版の2ページをつけ、その後にアナザーバージョンとして今回の書き下ろしページがあれば良かったのでは?)企画をした人には大変申し訳ないが、怠惰なる天才に火をつけるような試みは失敗だったのではないだろうか?
オリジナル版はもう手に入りにくいのかもしれないので、今言ったような不満はあるにせよ、こうやってこの怪作が読めるようになったことは喜びたい。そしてまたいつかの日かデメキングが本当に暴れ出す日を待ちながら、毎日を過ごすことにしましょうか。
↓こんなイベントもあるみたい。
いましろたかし『デメキング 完結版』発売&増刷記念「デメキング☆オールナイト!!」
お、Amazonでは「なか見!検索」やってるね。アルフレッド・ベスターのゴーレム100読了。何も言わず黙って読め、と偉そうに言いたくなるほどの脅威的な面白さ。SFとエロと暴力と衝動と人類と未来と言語実験と狂ったイラストとその他何もかもがぐちゃぐちゃに詰め込まれていて、山形浩生解説による「すべての読者にとってすべてのもの」という言葉が実にしっくりくる・・・というかこの狂った本に対して、こんな普通の言葉で語ることに異様なもどかしさを感じている。こちらのSUGEEEEEEEEEEE!!!「ゴーレム100」は超スゴ本くらい壊れて書いてみたいですよ、と思うくらい。
「虎よ、虎よ!」ももう一回読みなおそうか。読書というのは、色々なやり方がまだまだあるのだということに、気付かされる一冊でもある。
土曜日。ル・シネマでリトル・チルドレン。この映画館は上品なおじさんおばさんお嬢さんが多くて、いつもなんとなくはぐれもの気分なのだが、この映画を見たあの上品な人たちは何を思うのだろう?
まあそれはともかく、今のところ僕が今年見た映画の中ではベストかもしれない。
2時間17分の間、まったくダレることなく緊張感が続く。この映画で語られる物語の結末が気になるのはでなく、そこで起こっていることをただただ凝視してしまう。登場人物の誰かに感情移入して感動したりするのではなく、有閑の専業主婦/前科ありの変態/司法試験浪人主夫/元警官・・・といった登場人物の誰もが少しずつ「私」であるように思ってしまう。ケイト・ウィンスレットはまったくもって素晴らしいくらいに生々しい主婦を演じていて、その振る舞い一つ一つに集中してしまう。実にいやらしい。
結局のところ、この映画が何を描いているのかは不明だ。ただ、なんとなくムズムズするような感覚だけが残る。「子供のままでいる大人」という解釈もよくわからない。実は人はみな、自分が何をやりたいのかサッパリわかっていない・・というようなぶっちゃけ話なのかもしれない。
金曜日。渋谷O-nestで渚にて×豊田道倫×キセルのイベント。
<キセル>初めて聴いた。初めて見た。お兄ちゃんの方はサッカーの高原っぽくて、弟の方はホフディランのワタナベイビーみたいだと思った。リズムボックスの音とか、歌詞とか、何かに似ているようで、でもよく聴いてみると似ていないような音楽。後に出てきた豊田さんも言っていたけど、夏休みのうたが良かったです。
<豊田道倫>1ヶ月くらい前にもここで見たのだけど、この日も久下恵生さんとの最狂デュオ編成。ガリガリひかれるギターと唸るようなドラムの「このみ先生」とか衝撃的にかっこよかった。いつもの長いライブもいいが、こうやってぐわーっと1時間くらいに凝縮されるイベントもいいなあと思った。普段単独のライブには行かないような人(でも興味はあるような人)も来やすいし。
<渚にて>初めてライブを見た。(今「渚にて」で検索するとネヴィル・シュートよりも、その映画よりも、この「渚にて」が上なのね、すごいな。)さすがに前座も合わせると3バンド見続けた後で疲れてきたが、ここちよくゆらゆら聴くことが出来た。つくづく俺は男声と女声がこうやってからむバンドに弱いということがよく分かった。
終演後、渋谷で終電まで飲んで帰った。渋谷駅でも目黒駅でも、泥酔して嘔吐して倒れている人をみかけた。みんなつらそうだった。でもそのちょっと前までは楽しかったんだろうなと思う。
ビースティ・ボーイズのライブ終了後、後片付け、飯食ってビール飲んで、新宿行きの深夜バス乗り場まで歩く。かなり遠かったが、苗場行きバスに並ぶよりはマシかもしれない。久々の深夜バスだったが、苗場から東京というのはやはりそんなに大した距離ではなくて、1:10くらいに出発して4:30頃には着いた。しかしどういう規定があるのか知らないが、5:00になるまで車内で待たされたのは不可解だった。
日曜の朝の西新宿は、まだ暑くもなく、でもじめっとした湿度が感じられて、道ではカラスがゴミを漁っていた。家に帰ってリストバンドを外し、シャワーを浴びて、昼過ぎまで寝た。選挙に行って、買い物して、焼き肉食って、雨に降られながら家に着き、また寝た。
土曜日。バスに揺られて会場に着いたのは11:30を少し過ぎてしまっていた。バスの中で大学生たちが関西弁で話していた猥談が余りに卑猥で面白くって、笑いをこらえるのが大変だった。
<THE BIRD AND THE BEE>
これまたアメリカのバンドとは思えない程オシャレでかわいらしくてびっくりした。ボーカルの女の子はリトル・フィートのローウェル・ジョージの娘だと。
<湯川潮音>
でもってこっちは湯川トーベンさんの娘ときた。(これからますます誰々の2世ミュージシャンが出てくるんだろうなあ・・)ステージにあらわれた瞬間に「かわいいいい」という声が会場中から漏れたような気がした。これもヘブンっぽいゆるい癒しの時間。
<DUB AINU BAND>
これまた内田直之PAでぶちかます感じ。アイヌの伝統弦楽器と、ダブの融合。ヨーロッパツアーから帰ってきたばかりだそうで、確かにこれは色んなフェスに呼ばれるわと納得。あまりの気持ちよさに眠気を覚えたりもしつつ、最後は踊って喝采。とても良かった。
<G. LOVE & SPECIAL SAUCE>
その後は疲れたので(早い)、グリーンステージ後方で昼寝タイム。クーラ・シェーカーとかやってた。暗くなってきて、レッドマーキーに行ってG. LOVE。これはもう手練というか鉄板というか、クールな演奏にバシッとラップを決めて、まあ間違いなく受けるバンドだなあという感じ。
<IGGY & THE STOOGES>
イギー・ポップを見ようと思って早めにレッドマーキーを出たのだが、突如腹痛に見舞われトイレに並ぶことに。並んでる間にライブは始まっちゃって、グリーンステージから響く"I wanna be your dog"を聴きながら用を足しましたとさ。いやあ贅沢なのか惨めなのかよくわからん体験。ライブは"NO FUN"でイギーが観客を大量にステージにあげちゃって、もう前代未聞の大騒ぎに。終わった後に"オーケー、サンキュー!バイバイ!!"と冷静に客にステージから去るよう指示するイギーに爆笑した。しかもその後にまだ曲やるし。
<BEASTIE BOYS>
BEASTIE BOYSのアルバム、ほとんど持ってるくらい好きなはずなんだけど、なぜかライブは一度も行ったことがなかった。なので初めてのBEASTIE BOYS。
なんというか、前日のCUREがどうしても青春の影というか、負のイメージをまとうのと対照的に、ビースティはひたすら「遊び続ける人生」のイメージ。楽器持っても、ラップしても、ハードコアパンクやっても、ジャズファンクやっても、漫才しても、決めのポーズしても、とにかく全部「遊び」な感じで届く感じ。Mix Master Mikeの超絶ターンテーブルさばきも、なんかかるーくやってる感じだし、マニー・マークは自分のバンドの時とは大違いで終始大騒ぎというかキーボート弾く時間よりステージ上で暴れてる時間の方が長い。。
ビースティ・ボーイズのようになれたら最高かもしれない。お洒落な服を着て、かっこいい靴を履いて、スケボーやって、楽器を手に好きな音楽を演奏し、ラップで陽気に叫び、イケてる友達とつるみ、だけどマジで決めるとこはビシッと決め、だからみんなにバカにもされずむしろ尊敬されたり。でも自分自身が「遊び続ける」ことは結構難しかったりするので、人はこうやって一部の人に遊び続けてもらうことを望むのかもしれない。
01. MMM Intro
02. Super Disco Breakin'
03. Sure Shot
04. Triple Trouble
05. Shake Your Rump
06. Time For Livin'
07. Live At P.J.'s
08. B For My Name
09. Gratitude
10. Remote Control
11. Body Movin'
12. Pass The Mic
13. Time To Get Ill
14. Ch-Check It Out
15. Son Of Neckbone
16. Suco De Tangerina
17. Sabrosa
18. Off The Grid
19. Tough Guy
20. Egg Raid On Mojo
21. Root Down
22. No Sleep Till Brooklyn
23. 3 MC's & 1 DJ
24. So What'cha Want
Encore:
25. Intergalactic
26. Heart Attack Man
27. Sabotage





