book: 2005年11月アーカイブ

某西荻方面から借りた漫画。伊藤理佐の「やっちまったよ一戸建て!!」全2巻。

やっちまったよ一戸建て!! (1)

ああやっぱり面白い。この本の冒頭にも書かれているように他人の「やっちまった」を覗くことほど楽しいことはないのだ。「建もの探訪」をついつい見てしまうのも同じ心理。ただ、こういった建ものオタク的な人間は男性に多いような気がする。作者のように女性でここまで「やっちまう」人は珍しい。しかし、はて?俺はどうしてもこうも建築にひかれるのか?

建築というのは人類の歴史の中でもかなり古い部類に入る行為とその結果であり、それこそソフトウェア開発なんぞとは根本的に信頼性が違うという気がしている。そもそも業界としての成熟度が全然違う・・・というイメージがある。コンピュータシステムの開発は未だに未成熟で、できあがったものは不安定だったり、ユーザが望んだものと微妙に違っていたりする。設計者の意図はどこかで消え、不思議な実装が継ぎ足される。そんな未成熟な業界と比べると、建築業界というのは設計者から現場の作業する人の隅々にまで、建築という結果に対する共通のイメージが持てていて、設計した通りの構造を実現するための方法論もきっちりと存在する。誰も高いビルに上るのを怖がらない。なぜなら僕らはそれが倒れないことを知っているからだ。(というかそれを信じられない人は、現代では何も出来ない)

小さくて素晴らしいソフトウェアを作る人は、よい料理人に例えられるが、大規模なシステム開発は建築に似ている。

・・・という訳で、もっかのところの時事ネタで最も興味を持っているのは例の耐震強度偽造の事件なんだけど、マスコミはやっぱりくだらないことにばかりスポットをあてているのでかなり萎える。あの社長の人間性だとか、責任の所在はどこに!?とかヒステリックに騒ぐのも結構だが、これはもっと恐ろしいことを内包している事件だと思う。

構造計算書公開=オープンソースマンションという記事が非常に興味深かった。

社会はいろいろなものを「信頼」しないと回らない。失なった「信頼」は「検査」で回復することはできない。その「検査」が正しいとなぜあなたは「信頼」するのか?

つまり、それを回避する為にはオープンソースマンションみたいな発想が有効では?という訳だ。なるほど、と思うが未成熟なソフトウェア業界でも簡単になし得ないことが、建築の世界の標準になるのは相当難しいだろう。というか最終的には倫理の問題にまで行き着くのだ。建築コストを安くするために云々とかいうセリフを聞いているととても他人事とは思えんのよね。。。と、漫画の感想を軽く書くつもりがあらぬ方向へと進んでしまった。今日はこのへんで。

枯草熱

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現存する最も素晴らしい出版社、国書刊行会のスタニスワフ・レム コレクションでついに「天の声」と「枯草熱」が出た。

天の声・枯草熱

早速買ってきて、訳者のあとがきを読んだ。そこで驚愕というか赤面というか・・・この小説の存在を知ってからずっと「枯草熱」を「かれくさねつ」と読んでいたのだけど、これは「こそうねつ」と読むのが正しいそうだ。うーん、恥ずかしいけど、今分かって良かったよ。

最近すっかり文字に対する集中力がなくなっている気がする。子供の頃は面白い本も面白くない本も、とにかく無茶苦茶に読めたような気がするのだが、どんどんとダメになっている。すぐ気が散る。すぐ眠くなる。モノの名前を忘れる。飲む。食う。ぼんやりする。太る。

「未来の文学」シリーズもついに最終配本。さあ読もう。

宇宙舟歌
宇宙舟歌
posted with amazlet on 05.11.08
R.A. ラファティ R.A. Lafferty 柳下 毅一郎
国書刊行会 (2005/10)

その前に復刊されて平積みになってたこれを読んでから。

時間の墓標
時間の墓標
posted with amazlet on 05.11.08
J.G.バラード 伊藤 哲
東京創元社 (1970/10)