book: 2006年10月アーカイブ

ペルセポリスI イランの少女マルジ

ペルセポリスI イランの少女マルジ

まずは独特の構図とタッチに驚く。自分とほぼ同世代の、イランの少女の視点で綴られる革命、そして戦争。例えば人が死ぬような、とっても重い場面でも、逆に古代の絵のようなコミカルな構図で描かれたりするので、思わず笑いそうになる。彼女はとっても裕福で進歩的な両親のもとで育っているため、体制に憤ったり、階級社会の中でメイドを哀れに思ったりする。同時にイラクとの戦争の中では愛国的な高揚感も持つし、欧米文化に憧れてマイケル・ジャクソンのバッジをつけて外出したりもする。こんなに新鮮な視点で読む漫画は久しぶりだった。

ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る

ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る

戦争を逃れてオーストリアで生活するマルジ。イラン人として生きること、そして普通のティーンエイジャーとして生きること。タバコドラッグセックス失恋。アイデンティティーの危機、そして失意の帰国。裕福な家庭の子の、ありきたりな物語かもしれないが、とっても正直に描かれていて面白い。あまりにも金持ちってラクなんだなあ、甘ったれてるなあ、という気もするので、みんな1巻の方が好きみたいだ。確かにそう思う。

世直し源さん—ヨシイエ童話 (1)

偶然にも、ちょうど安倍晋三が総理大臣に・・・というタイミングで読み始めたこの本。読み終わってからあとがきを読んで、執筆時期が89年〜91年だということに驚いた。まるで2006年の政治を童話にしたみたいだ。

民主主義が衆愚政治に堕してしまった現状を憂い、4年間だけの時限立法で「独裁」をやるというステテコ姿の総理大臣、源さん。女子高生からお婆さんまで5人の妻と重婚していて、「国会議員性根たたきなおし法案」を作り、時には国民を文字通り殴りつける男・・・1人のトリックスターの物語を通して、見事に「システム」が様々なことを飲み込んでいく様(そしてそのシステムの破壊/システムからの解放)が描かれる。

美しい国へ云々という人間より、それを実に多くの人が支持しているという現実の方に驚かざるを得ない。「みんなが正しいと考えること」の正しさについて誰かが検証しないと、誰も内部は悪くないんだけど/どこか外部に敵を見つけよう・・の粗悪なロジックが口を開けて待っている。

ちなみに映画にするなら主人公は菅原文太しかない・・・とは奥さんの弁。同意します。