book: 2007年1月アーカイブ

ガルシア=マルケスの「わが悲しき娼婦たちの思い出」を読了。なんといっても出だしが強烈で、
「満九十歳の誕生日に、うら若い処女を狂ったように愛して、自分の誕生祝いにしようと考えた」。
という具合だから、いったいどんなエロスの世界が・・と思いきや、なんとも清く美しい小説だった。このじいさんは「老い」に対してあんまり大仰に構えていないし、処女礼賛とか若さへの渇望もそれほど強烈なものではないようだ。ただ単に彼は少女に引き寄せられる。そして90歳の老人にとって未来と過去の記憶はどうやっても後者に偏るもので、少女への思いの中でも、常に思いは過去をさまよっている。そして少女は、その存在が夢のようで、あくまで主人公の主観としてしか描かれない。
満九十歳まで生きられるかどうかはともかく、こんな老人になれたらいい。
イーガンを読んで面白い面白いと言ってるだけではもの足りないというか、どうも自分が「わかったふり」をしているだけのような気がしたので、数年前に買っただけで未読だったこの本を読んでみた。
結論。面白い。やっぱり基本的なことは学んだ方がいい。だけど「本当に」理解したかというと、それはそれではなはだ自信がないのである。SF的な思考実験は面白いけど、それ以上じっくり腰を据える気にはならないヘタレSF者なのだ。
この本は「1970年初版50刷23万部」という凄い肩書きを持つ名著であり、その比喩が時代を感じさせて面白い。星飛雄馬とか忍者とか。
100円の前借金で身を拘束されている廓の遊女がいるとする。彼女が何らかの理由で150円の金を手に入れることができた・・・となれば当然自由の身になることが可能である。しかもふところには50円の財産がある。これを公式で書けば、
(解放後の財産)=(貰った金額)ー(前借金)
である。光電効果は・・・遊女の解放と同じである。
すごいっす。
全4巻。先週読了。日本SF大賞受賞の漫画。漫画が受賞したのは大友克洋『童夢』以来2作目だそうだ。(AKIRAだと思っていたのだが勘違いだった。)僕はSF読みを公言しているものの、こういった賞関係に触発されて読むということは余りなく、そもそも押井守の「イノセンス」とかが受賞しているのはいかがなものか?という気がしているので、あまりこの賞には注目していなかったのだが、久々に読んだ萩尾望都は結構面白かったのである。
そういえば最近見た「パプリカ」も主人公が夢に侵入する話だったが、あの映画の陳腐過ぎる概念と違って、この作品での「夢」は徹底的に現実に立脚している。しかもカニバリズム、火星、宗教、バイオテクノロジー、親子・・・とグチャグチャに色んな要素が取り込まれているから、夢はあらゆる角度から検証され、現実的解釈を試みられる。こういうのをSFと呼ぶべきであって、1つのガジェットで意識が混濁するだけで「夢と現実が交錯する」とか安易にいうのは慎むべきだろう。簡単に夢が現実を犯すなんて、それこそ夢を見過ぎな発想である。この現実は割と強固だ。



