cinema: 2006年11月アーカイブ
先週見た映画。シアターNで、ホステル。
余りにも残酷描写が過激という噂のR18のホラー映画で、見る前からかなりの覚悟をして行ったのだが、これが覚悟をしただけのことはある傑作だった。見る前に、「大丈夫、これは作り事で本当は誰も死んでない。本当の血なんか一滴も出てない!」と強く10回以上念じてから見れば、恐がりのアナタもきっと大丈夫である。たぶん、ね。具合悪くなっても責任はとりません。
アムステルダムを観光中の3人組(アメリカ人×2、アイスランド人×1)が、「スロバキアのとある街へ行けば、美女たちからモテモテ、セックスしまくりだよー」という情報を得て、マジで!?とばかりにその街へ向かう。確かにそこのホステルでは、なんと相部屋の女子2人がもう・・・・(以下自粛)・・・・で、彼らは夢のようなエロエロな一夜を過ごすのだが・・・という物語。ホラー映画の鉄則では、セックスする奴は絶対殺されるのだが、この映画ではそいういった映画のお約束を微妙に守り/そしてずらしているのが実にウマい。そして彼らを待つ、地獄の運命は果たして・・・
以下は、もう見た人か、絶対に見る予定のない人だけお読みください。
土曜日。六本木でトゥモロー・ワールド。
素晴らしい。見て良かった。最近はどいつもこいつもクソみたいな「恋人とか家族が死ぬのはとっても悲しいねー」という映画ばっかり作りやがって(そんなの映画に言われなくても分かってるし)、しかもアホ面さげてみんなそれ見て涙流して、ガンガン大ヒットするもんだからみんなサルみたいに同じような映画とっちゃって、もう別に興味ないからいいんだけど、でも映画館で予告編とか見るだけも辟易してたから、こうゆういわゆるスターは使わずに120億だかのメガ予算使って、しかも強烈なメッセージがあって、役者はみんな最高だし、素晴らしいカメラに圧倒されるし、こういう映画を本当に待っていたんだ、という気がする。
現題はP.D.ジェイムスの原作小説通り「CHILDREN OF MEN」。映画冒頭、このタイトルの入り方だけでかなりグッときた。以下はネタばれありなので、興味ある方は読まないよろし。
日曜日。銀座シネパトスで太陽を見た。イッセー尾形の「あ、そう」は摩訶不思議で絶品の味であり、先日フィリップ・シーモア・ホフマンのカポーティを見た時もびっくりしたのだが、「演技」というのは人間がやる行為の中でも、なんとも奇妙で、しかも激しく人の心を動かすものだということに今更ながら気づかされる。
史実とは違う部分も多いようだ。でもそんなことは全然重要ではない。何より全体に漂うムードが幻想的で美しい。緊張感あふれる映像が多いが、笑ってしまうようなシーンも多い。奇妙で、どことなく暖かい映画。無表情の中の表情、無言の中の言葉、それら一つ一つがかけがえのないものとしてこの世界を成立させている。イッセー尾形が「あ、そう」と言いながら凝視するのは、そういう一瞬一瞬なのだ。
日曜日、渋谷でクリント・イーストウッドの父親たちの星条旗を見た。
原作がドキュメンタリーだけあって、出来る限り過剰な展開を避けたような、丁寧な作りの映画だった。アンチ・ヒーローの物語でもあるから、生き残ったものも死んだものも、更には生き残ったものを利用する人たちも、皆が等しく距離を持って描かれる。そして非戦場と交互に現れる「戦場」の光景の凄惨さは「プライベート・ライアン」の最初の20分の描写を遥かにしのぐ。いかに簡単に無意味に、虫けらのように人が死んで行くか。そして、明らかに(現代においてもある程度はそうであるように)、人の命があまり重くない時代や場所があるということ。もしかすると人類の歴史上で言えばそんな時代や場所の方が明らかに多いのでないかという、あまり考えたくないことを考えたりしながら。
ただこれは告発や裁きの映画ではなくて、事実についての映画なので、あまりに過剰な感想を書くのはやめておこう。見たというメモにとどめる。
硫黄島二部作ということで、日本側からみた「硫黄島からの手紙」は12月の公開だそうで。こちらは予告を見た印象では、なんか違和感がありそうな予感がするが、多分見に行くでしょう。
金曜日、六本木シネマートでトンマッコルへようこそ。
村の外では朝鮮戦争やってるなんてことも知らない、武器も兵士も見たことない、桃源郷のような村、トンマッコル。そこへやってきた米軍、南、北、それぞれの兵隊さんたち。村人たちは「戦争」も「武器」も分からないから、外部からやってきた彼らの存在自体が「?」である。ただし彼らは「?」を排斥しようとするどころか、ニコニコと笑って歓迎するのである。つまり「トンマッコルへようこそ」と。その状況から生まれる「笑い」がとっても舞台っぽいなあ、三谷幸喜みたいだなあと思っていたら、やっぱり原作は舞台作品だそうで。
あと、音楽が久石譲ということで、連想するのは二つ。一つは宮崎駿だし、もう一つは北野武。村の守り神ののどかな造形などから、ジブリ作品を連想する人は多いと思うが、村人たちと無邪気に遊ぶシーンなんかは北野武の「ソナチネ」か?と思わせる場面だった。久石譲の音楽は映画の感動成分を確実に30%増しにする。ずるい。
以下は、映画を見た人だけ。

