FRF '04: 2004年7月アーカイブ

あとはもうひたすらケミカル祭り。
俺は後ろの方で、ただただ踊りに興じる人たちを眺めつつ酒を飲むつもりだったが、途中で立ち上がって不気味に体を揺らし始めてしまった。おかげで酒が回って回って仕方なかった。これだけの人数を、たった二人でああやってビートとビデオで踊らせるのはどんな気分なんだろう。
夜のグリーンステージとケミカルブラザーズ。まるで白い御飯に塩鮭のような相性の良さである。
その後、宿にはまっすぐ帰らずに、ゲートの外で24時間営業しているバーで少し飲んだ。ソファーが嬉しい。
宿まで歩く途中、歯ブラシを買い忘れたことに気付き、慌てて坂を下りコンビニへ。コンビニから戻る途中、猛烈な腹痛に襲われ息も絶え絶えに宿にたどり着いた。二日目終了。

レッドマーキーでシャーラタンズをちょろっと見た。懐かしい感じ、というかいまだにあの「マンチェスター」の時代からのバンドで新作を出し続けてるのってこのバンドくらいだよね。ちょっと古い曲が聴けて嬉しかったが、踊り続ける体力はないのだった。疲れて途中で屋台に向かった。

という訳で、二日目で実際のところ夢中になって見たのはこれだったんじゃないのか?というのが清志郎。アルバム「KING」が素晴らしかったので、一体どうゆうステージになるのか?と期待していたところ・・・
この日は完全に王道のR&Bショウを演じて見せた。いきなり「雨上がりの夜空に」「トランジスタラジオ」「ドカドカうるさいR&Rバンド」「ラプソディー」だもん。おお、完全に全盛期RCサクセション!。もちろんお約束「暑いぜベイビー」ってね。そして新作からの曲もまったく違和感なく感動的で、梅津さんはクルクル回りながらサックスを吹き捲くり、バンマス三宅はきっちりとキングをサポートし、途中ではなんとチャーがゲスト参加して”日本の有名なロックンロール”「上を向いて歩こう」までやってくれたのだった。
スローバラード、気持ちE。 そしてラストは、新作の1曲目、"Baby 何もかも"。文句なし。最高。本当にうれしかったよ、俺は。
「コドモだましのモンキービジネス」と歌われる「ドカドカうるさいR&Rバンド」。そう、コドモだましを清志郎は見事にこの日、やり遂げた。僕はすっかり大人になっているのに、まるで10代の頃にRCサクセションを初めて聴いた時と同じように、カッコいい!と心から思った。モンキービジネスでもモンキービジネスじゃなくても、どうでもいいじゃないか。とにかくみんなが騙されたんだ。

コートニー、20分押しで登場。フジロックのきっちりした進行の中では異色。
極悪な声と衣装、魔女に調教された哀れなバンドメンバー(もちろん全員女性)たちを引き連れて、まるで「スナックゆかり」のママのような、つぶれまくった声で演奏が始まる。声なんて数曲やるまで全然出てなかったんじゃねーの?でも徐々に持ち直し、バンドメンバーを紹介したあと、"I 'm just a girl"とか言ってグヘヘと笑い、なんかこちらもグヘへという気分になる。
実にいい加減に見えるけど、実際はかなり草の根ロックバンド的サービス根性もあるのが、こういうアメリカのインディーズ精神があるバンドの特徴なのかな。最後は練習してきた曲が無くなったのか、もう1回オープニングでやった曲をやってたよ。僕がカート・コバーンだったら、自分の嫁さんが、自分が死んでから10年後、こんな風にロックしてるのを見たらとっても嬉しいかもな、と思った。

引き続き、グリーンステージから動く気がしない。雨がときおり降るし、他のステージにひかれるものもなかったので、そのままBEN HERPER。
かなりダラダラと見てたんだけど、途中からレゲエ色が強まり、ガンガンに上げ潮ムードの演奏が続き、いつの間にか立ち上がって体を揺らしていたという感じ。素晴らしい演奏。フェスらしいピースな空気。雨すらもステージを素晴らしく見せる演出のようで、地力のあるヤツはすげえなあまったく、と酔った頭で思ったのだった。空を見上げつつ踊る。

きゃあー。このバンドのこんなに人気があるの?って驚くくらいにグリーンの人たちから歓声があがる。
もうハイプのにおいがプンプンするんだけど、演奏はまあきっちりしてるし、曲もひねくれた感じでありつつも、なんか多くの人を引きつけそうなムードがあって不思議にポップだ。
ただ、ブラーとかがデビューしたときもこんな感じだったのかな?とおじさんは思ってしまうのだった。繰り返すポップスターの誕生と死。曇り空の下、飯食ったりビール飲んだりしながら、だらだらと過ごす。

二日目。朝起きたら雨が降ってて、場所とりの為に早く出かけるつもりだったのにその気が失せる。だけど仕方ないと諦めて、宿を出てみたら、なんとか雨は小雨に。会場に着く頃には止んでた。(結局この日も一日中降ったり止んだりだったな)
この日最初にちゃんと見たのは"Mitch Mitchell and Billy Cox of the Jimi Hendrix Experience"。前の方まで行って、このジジイたちの奏でるジミヘンに歓声をあげた。これはトリビュートバンドじゃないよ、俺たちは俺たちの曲をやってるんだ、とミッチ・ミッチェルさんは素晴らしい笑顔で言ってたような。途中でスティーブ・サラスもゲスト参加。ギターがぎゅんぎゅん。”エンジェル”が非常に良かった。
「本人」がいなくても、こうやって演奏される曲たちには何かが宿ってる気がする。ジムモリソンのいないドアーズもこんな感じだったのだろうか?

初日の最後はこのオッサン。降り出した雨の中、渋過ぎるステージをやりきった。まるでルー・リード教授のロックミュージック研究室といった趣。Pixiesは4人中3人がハゲだった訳だが、ルー・リードのバンドはチェロの女性を覗いた4人全員が銀縁メガネである。あり得ない。もう少し色気を出しやがれ。
鉄壁の演奏力で、割と最近のアルバムの曲が淡々と演奏される。俺はスウィート・ジェーンから始まるようなエンタテインメント色の強いステージを予想してただけに、完璧に裏切られた。まあこれはこれでウケたけどね。呆然としてるグリーンステージの空気が楽しかった。「ロックンロールやれ!」とか叫んでる客もいた。俺も同感だったけど、全くやるような雰囲気じゃなかった。「毛皮のヴィーナス」は盛り上がったね。少しだけ。"The Day John Kennedy Died"とかvelvetの3rdの"Jesus"とか、古い曲をやったとしても渋過ぎて、どんどんグリーンは緊張感に包まれて行く。"Romeo Had Juliette"は延々と10分以上ギターの掛け合いやってたわけだが、あまりの演奏のテンションの高さに圧倒された。偏屈も極めると人に届くもんなのかもね。
アンコールではあろうことかポエトリーリーディングなんかやり始めちゃって、何してくれてんねん、と思ったらやっとスウィート・ジェーンとパーフェクト・デイを最後にやって終わり。
ロックフェスでのヘッドライナーにあるまじき、ヒット曲無視の姿勢は、ある意味非常に清々しく、まあこれはこれで良かったかな、と思う。ちなみに連れ達はBASEMENT JAXXが非常に良かったらしく、満足した様子でホワイトから帰還してきた。小雨の降る中、シートを片付け、宿へ帰る。途中で猛烈な雨と風にやられ、びしょぬれで部屋に着いた。なかなかにハードな初日である。疲れきって眠る。

ロクな写真がとれてない。Pixies。今回のフジロックの最大の標的である。どんなに言い訳しようが金目当てとしか思えない再結成。全世界ツアーしてるみたいだね。全然問題ないんじゃないの、と歳をとった俺は思う。ハッピーマンデーズもそのおかげで見ることが出来たし。
更に太ったブラック・フランシス。どっから見てもただのおばちゃんにしか見えないキム・ディールさん。そしてギターとドラムの人はスキンヘッドになってた。もともとルックスにハンディキャップがあったのが、十年の歳月を経て更にひどくなってる。bone machineのドラムとベースラインが始まる。ギター。どっかーんと盛り上がる。なぜこんなに若い連中が?と不思議に思うほど、周囲は昔を懐かしむ30代ではあり得ないジャンプをしてる奴らが多い。うまくレコード会社と音楽雑誌の洗脳で「NIRVANAのルーツ」とかでPixiesを聴いてしまったのかな?まあそんなことはどうでもいい。次々と繰り出される曲の数々にただただ嬉しい気持ちで一杯だった。もともと2分とか3分の短い曲ばっかりだから、いったい何曲やったのか思い出せないくらい次々と演奏された。キム・ディールの声が天使のように響き、ブラック・フランシスが凶悪なデブ・シャウトを繰り返す。この珍妙なハーモニーこそPixies以外では出せない音。途中までずっと完璧な演奏だったのに。一番盛り上がるはずのDebaserではギターとベースのキーが違ってて途中で演奏やりなおし、という大失態。爆笑しつつシェーン!と飛び上がる。変な歌だよな、これ。
ロックとは、不細工でデブで友達が少なくて、なんの取り柄もないような人間の為の音楽である、とかつてこの凶悪パンダは語った訳だが、相変わらず不機嫌そうな顔でわめき散らすその様子は、なぜか俺を安心させるのだった。そして本当に幸せそうに笑いながらベースを弾くキム姐さんは、やっぱりどんなにおばちゃんになっててもかわいかったのだった。

グリーンの戻ってきて、PJ Harvey。真っ赤なミニスカート姿&ヒールにびっくりする。か、かわいいじゃねえか。
ギター弾いてよし。ハンドマイクよし。この人はもうパティ・スミスとかとはまた少し違った意味で、ロックの女神だと思う。圧倒的に自信に満ちているようで、堂々としているようで、なんか不安な感じがする。むきだしな感じがする。娼婦のようななドレスと重量感のあるサウンドの中にひどく痩せっぽちの一人の女性が見える。ユルいグリーンステージを相手にするには、余りにもゴリゴリでストイックすぎる演奏。俺としては文句なしだが、興味ない人には全く届かなかっただろう。
エレキギター1本だけで歌われた「RID OF ME」が最高にカッコ良かった。

さあ天気も良くなってきたので移動。オレンジコートに向かう。ホワイトステージに向かう途中で、今年からお目見えした「小便専用」のオープントイレを発見。いやあ、すごいね、みんなが通る場所に堂々と設置されてるもの。男性が小便する後ろ姿をデジカメで撮影してる女性がいたな。緊張して出ないかと思いきや、出るんだな。まあこうゆう場所だしね。
想い出波止場2020 featuring DJ おじいさん の演奏はもう無茶苦茶で楽しかった。いきなりCDをかけて、ジョニーサンダース のBORN TO LOSEをカラオケ状態で歌う。その後はJOHNNY B GOODで客席を唖然とさせ、次々と繰り出されるネタの数々に脳を撹拌されつつ笑いながら見た。いやあ楽しいだろうなあ、あんだけ好き勝手ステージで遊べたら。ツインドラムが楽しい。最後はDJ おじいさんが前に出てきて「中島らもにぃーー黙祷ぉーー!」って絶叫して、ターンテーブル蹴っ飛ばして終わり。

会場に着き、まずはグリーンステージ後方にシートを張る。ちょうどBRITISH SEA POWERが演奏中。音はちょっとひねくれた感じなんだが、エラい気合いの入った演奏。
オアシスエリアに行き、飯を食う。まずは豚串。ちょっと醤油をかけたのが美味い。その次はPE'Z。かっちょいいじゃない、とかいいつつビール。
でBLIND BOYS OF ALABAMA。盲目のおじいさん達によるゴスペルバンド。これが素晴らしかった。ものすごい声量と、ヨロヨロと立ち上がって客席を煽る感じでただ者ではない、と思った。ジジイが椅子から立ち上がって踊ろうとすると若いギタリストが「おいおい」って感じで押さえに来たりするという、ミニコントも交えつつ、最後はステージから下に降りてシャウトしまくり。あまりの声の凄さに、感極まって泣いてるコがいた。俺も泣きそうになった。ジジイたちに拍手。

6回目のFUJI ROCK FESTIVAL。7月30日。朝7:20の新幹線で東京から越後湯沢へ。台風は西の方に向かったらしく、苗場は直撃を免れた。湯沢からバスで40分。宿にまずは荷物を置く。今回の宿は、非常にヤバかった。部屋に鍵はかかんないし、風呂は深夜になるとお湯が出ないし、トイレは泡で流す「ネポン」とかいう不気味な仕組みだし、浴衣もタオルも歯ブラシも全てなし。ほんとに6畳の部屋があるだけ、だった。いきなり前金で全額を支払い、あとは完全に放任。いやあ、苗場でも最悪の部類の宿だろう。まあいいや、越後湯沢までバスで帰ることを考えたら、という訳で諦める。
雨は降ったりやんだり。風が強い。会場へと向かった。

