『極道めし』を読んで食欲喚起
体調悪いので、食欲だけでも喚起しようと思い、「刑務所の同じ房の囚人たちが、年に一度のお楽しみのおせち料理を賭ける "シャバめし自慢バトル"。勝負の内容は自分たちがシャバで食ったうまいものの話をし、一番皆ののどを鳴らしたものが勝ちというもの」という筋書きだけで存分にソソる、土山しげる『極道めし』1巻・2巻買って読む。昨年、ネットで読める第一話をたまたま読んだところ、あまりのヒキの強さにずっと気になっていたのである。
これね、イイですよ。それぞれがうまいものの話をしながらムショ入りする次第が明らかになる仕掛けも劇画としておもしろいし、何より誰もが持ってる「うまいもん」の話は、グルメ的なものとは関係なく魅力的であるという事実。食の個人史は人の数だけ存在するので、誰もが喉をならす完璧な「うまいもん」の話はなかなかない、ということ。ともすれば食と文化は云々などといった「美味しんぼ」チックな流れにももっていけそうな話だが、ガラの悪いキャラクターの口上が文字通り味のある「うまいもん」の話だけに全力を投じるところがイイ。
・・・で、じゃあおれはどの話に喉を鳴らしたか?ということなんだけど、正直一番じぶんの消化器が反応したのはさっき紹介した第一話で、これは要するに本題への前章、「うまいもん」の話はまだでてこない。なんのことはない「ど、どんなうまいもんの話が出てくるんだ、この後に!!」という過剰な期待とヒキが、強力すぎたのであった。そういう意味では、この第一話、連載漫画の第一話としては完璧(実際おれも買ったわけだ)。同時に、広い意味でいちばん「うまい」と思える話・思い入れというものは、体験を元に自分の脳内でぐつぐつと煮え育てられるものなんだなと、まあ読後大福をかじりながら思ったわけです。広い意味で、というのは、それは食べ物に限らない話だよな、ということ。