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赤塚不二夫、死去。

ビワコが買ったジム・オルークのサントラで思い出したんだけど、若松孝二監督が「この世でおれが唯一頭が上がらない人」が、赤塚不二夫。『時効なし』という本で、若松監督が新宿ゴールデン街で出会った頃の様子にふれている。カンパを頼めば「おー払ってやろうじゃねえか」と(おそらくは酔っぱらって)大金をドサドサ貸し与える売れっ子・赤塚に、重信房子の本(!)を出すため金が必要だった若松監督が、

 それで、赤塚さんに、「なんにも言わずに三百万円貸して下さい」って頼んだんです。重信に会いに行くことを知っててお金を出したこととなると大変なことになるから、使用目的はわざと言わなかった。
翌日、ゴールデン街に行ったら、「赤塚さんが探してましたよ」って言う。昨日頼んで今日だから、まさかと思ったんだけれど、赤塚さんは、雨の中を、風呂敷に三百万円包んで、俺を探しまわってたんですよ。唐十郎が状況劇場の芝居をやってる上野まで行って、そこにもいなくて、また探しに新宿まで戻って来た。俺を見つけて、
「ああ、やっと捕まえた」
 世の中に、こんな人いる?人に金を貸すために、雨の中風呂敷持ってあっち行ったりこっち行ったりする人が......。
『時効なし』若松孝二/42P)

額の大きさより、雨の中風呂敷持ってあっち行ったりこっち行ったりすることが重要なのではないでしょうか。主宰!おれに、なんにも言わずに300円貸して下さい!無名時代のタモリやたこ八郎を世話してきた話など、その甲斐性有りっぷりはつとに有名な赤塚不二夫先生ですが、上の本には、釈放されたばかりの足立正生にスーツ一式・新居と家電まであてがうという話もあり、なかなか凄い。当然そこにややこしい思想とか理論とかはないのであって、酒飲んで「アーこの人いいな好きだな」と思った相手への愛情が深すぎるだけなのである。アシスタントや家族、飲み仲間まで共犯者として巻き込んでいろいろこさえていくノリは漫画家というより映画屋っぽかったのかも。ものすごい赤塚漫画ファンというわけではないのですが(世代も少し前だし)、まあさすがにショックではあります。個人的なベストは『ギャグゲリラ』かなあ。あと赤塚不二夫監修『まんが入門』(意外にちゃんとした内容)は、子供の頃買ってもらって何度も読んだ。

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